聞き取り調査を行う、共産党府議団のかみね、森下両府議(昨年6月)
府議団アンケートの結果と特徴をまとめた冊子(上・下)

暮らし限界、医療・介護の負担大

 日本共産党府議団(前窪義由紀団長、13人)はこのほど、京都市上京区、右京区、下京区、八幡市、長岡京市の高齢世帯420軒を訪問し、191軒から聞き取ったアンケート(第1次分)を集約した冊子「声を出せない高齢者に寄り添って 見えない貧困・格差を可視化する 2018高齢者・暮らしのアンケート」(第1次分)をまとめました。

 同アンケートは昨年6月から開始し、安倍政権による社会保障の大改悪のもとで格差と貧困が広がるなか、声を上げられずに孤立している高齢者の実態を把握し、深刻な実態を可視化することを目的に取り組んだもの。

 特徴として、①いつ、どうなるかわからないギリギリの状況②医療や介護の負担が大きくのしかかる③医療、介護、障がい者福祉の基盤が不足④介護保険制度の矛盾が介護家族の困難を広げている⑤住み続けられる地域づくりのために―に分類し、それぞれ具体的な声を載せています。

 暮らし向きについて、「苦しくなった」は33%。「国保料や介護保険料の負担」が「重くて大変」は49%でした。高すぎる医療費や介護保険の利用料はじめ、介護用品のレンタル料や紙パンツ代、タクシー代などの負担が増えている声が多数寄せられ、「年金が1万円下がった。高い負担に、早く死んでくれと言われているよう」(95歳、女性)と声が寄せられました。

 要介護5でも特別養護老人ホームに入れない93歳独居の女性、難病でも病院を転々とさせられている75歳男性も。ひきこもりの夫(83歳)と障害のある50歳の娘を80歳の妻が支えており、妻の健康だけが頼りという家庭もありました。

 介護保険料サービスは「利用していない」が45%。家族の介護離職や老々介護、同居家族に難病や障害を抱えている事例もあり、89歳の認知症の母親を介護して美容室を経営する60歳女性からは「逃げたいけど逃げられない。もう限界」との声が寄せられています。

 住み続けられる地域づくりのために必要だと感じていることとして、「介護施設」「身近な医療機関」「公園や図書館、コミュニティセンターなどの公共施設」の充実などがあげられました。

 同府議団の光永敦彦幹事長は、「貧困の実態の可視化をしようとアンケートに取り組みました。高い医療費や介護保険利用料の問題、介護用品のレンタル代やタクシー代などさまざまな負担、制度そのものを受けられない、施設自体が足りないなど深刻な実態が浮き彫りになりました。この結果を施設や、利用者、地域住民の方に届け、社会保障改善へ向けた共同を広げていきたい」と話しています。