京都府知事選挙(4月8日投票)の告示後、最初の土曜日となった3月24日、京都タワーホテル前(京都市下京区)で行われた、「つなぐ京都」・福山和人(かずひと)候補の街頭演説に、元日本学術会議会長の広渡(ひろわたり)清吾さんが東京から駆け付け、応援演説を行いました。広渡さんの訴えを紹介します。

 
 みなさん、こんにちは。いま、ご紹介いただきました広渡清吾です。

 私は、福山和人さんにどうしても京都の知事になっていただきたいという思いで、今日、東京から応援にやって参りました。
 私が福山さんを応援する理由が3つあります。第1の理由は、福山さんが、いま、安倍政権が推し進めようとしている政策、つまり、憲法を壊す、働く人を過労死に追いやる、東日本大震災・原発事故の反省もせずに原発を推進する、そして、森友問題にみられるように国会に、国民にうそをつく、こういう安倍政治に対して、京都のみなさんの先頭に立ってたたかう知事候補だからです。

 私たちは2015年、安倍政権が安保法案を提案した時、それに対して、大きな輪をつくってたたかいました。残念ながら、安保法案は強行され、安保法制は成立しましたけれども、それ以降も安保法制の廃止を目指し、日本国憲法が保障する立憲主義、民主主義、平和主義を守るために、市民と立憲野党の大きな共同の力を作りながら、今日まで運動を進めてきました。

 2015年、福山さんは京都弁護士会の副会長として、京都における、安保法案反対の運動の先頭に立たれました。福山さんは、当時を振り返りながら、円山音楽堂に4500人もの市民が集まって、安倍政権のたくらみを絶対に許さないという決意を固めた時に、この力こそが、京都から安倍政治を変える原動力になったのだと確信した、そう語っておられます。

 みなさん、安倍政権は、森友問題にみられるように、安倍首相と、首相夫人の昭恵さんを守るために、朝日新聞がスクープするまで、1年間にわたって、国会と国民をだまし続けました。昨年の衆院選挙も同じです。だまし続けるなかで、安倍首相は、国難突破である、この国を守り抜くという大仰なスローガンを掲げて、国民をだまして、自民党に投票させました。これは、議会制民主主義の基本をないがしろにする、許されざる所業です。

 この政権が責任をとる唯一の道は、内閣総辞職以外にありません。みなさん、この政権に憲法を語る資格などありません。にもかかわらず、安倍首相は、憲法9条の改正に固執して、自民党に9条改正案の準備を急がせています。みなさん、福山和人さんを先頭にして、京都のみなさんが、この日本の政治を変えるために、安倍政治に鉄槌をくだしていただくことを、心から願っています。4月8日の投票日に、福山さんを知事に押し上げて、京都から安倍政治を変える、大きな声をみなさんに上げていただきたいと思っています。

 第2の理由です。これが一番重要ですけれども、福山さんは、みなさんの心をつないで、大きな輪をつくって、そこから自治の力を引き出し、府民一人ひとりの生活と権利を守り、課題を解決し、府民のみなさんのために働く知事候補だからです。

 京都府政は40年間、中央官僚出身の知事が続きました。このもとで、子どものための施策、働く人のための施策、お年寄りのための施策、京都の産業を支えている中小企業のための施策、そして、農林水産業の施策など、京都府が独自に手を打つことなく放置してきました。福山さんは、やろうと思えば、京都府が独自にできることはたくさんある、と言っています。日の当たらないところに日を当てることが政治の役割だと強調しています。

 中央官僚出身の知事候補は、「中央とのパイプ」を強調します。しかし、みなさん、日の当たらないところに日を当てようとすれは、中央とパイプをつなぐのではなく、府民ひとりひとりの生活の現実に根ざさなくてなりません。福山さんは、これまで弁護士として、弱い立場の人々の生活と人権と自由を守るための活動を続けてきました。この活動は、府民一人ひとりのための知事になるための重要な財産になると思います。府民の生活を丸ごと全力で応援する福山知事をどうしても4月8日、みなさんの手で実現してください。

 第3の理由です。これは、私の個人的な思いを含んでいますけれども、もう一度、かつて、「革新自治体の灯台」と呼ばれたような、優れた地方自治体つくる知事候補だからです。京都の自民党は、福山さんが知事になったら、蜷川府政の再来になると恐れています。みなさん、ご案内のように、蜷川虎三さんは、1950年から28年間、京都府知事を務めました。蜷川京都府政は、全国の地方自治体を勇気づけて、美濃部東京都政、黒田大阪府政がこれに続き、蜷川京都府政は全国に対して「革新自治体の灯台」と呼ばれました。

 地方自治という制度は、日本国憲法が初めて作った制度です。この地方自治のもとで、地方の住民が自治の主体となって、地方の政治に参加する、これが日本の民主主義の土台になることが期待されています。蜷川知事の京都府政は、日本国憲法が願う、この地方自治を作ろうする試みでした。京都府庁に垂れ幕がかかりました。垂れ幕には、「憲法を暮らしの中に生かそう」と掲げられました。これこそ、日本国憲法が追求する地方自治のあり方を示すものでした。

 蜷川府政以降、京都は40年間にわたって、中央官僚出身の知事が続きました。みなさん、今度がチャンスです。福山さんを知事に押し上げることによって、憲法を暮らしの中に生かす、府民の府民による府民のための京都府政を、どうぞみなさんの力でつくりだしてください。福山和人さんに大きなご支援を心から申し上げて、私の訴えとします。ありがとうございました。