「丹後和紙」、「由良川藍」、「丹波漆」の継承・発展に取り組む福知山市の3団体でつくる「福知山伝統文化を守る会」の初コラボ(共同制作)商品が誕生しました。和紙×藍によるさわやかな藍色をしたハンドメードの名刺。使って、広めてもらえる“Made in 福知山”を誇る第1弾です。

■土地の技〝融合〟でブランドに

 名刺は、同「守る会」の田中敏弘会長(丹後和紙・田中製紙工業所5代目)のこだわりが凝縮された逸品です。「色むらのない、きれいな藍色を出したい」との思いから、作業工程で2度、和紙を漉く「漉き返し」という手法に初挑戦しました。

 原料は、大江町二俣で育てた楮(こうぞ)。これを漉いた大判の丹後和紙を「福知山藍同好会」(塩見敏治代表)の会員が藍染めし、それをまた水に溶かして何度か水換えをした後、トロロアオイの粘液を加えて、名刺サイズ(9センチ×5・5センチ)に漉き直します。

 藍同好会のメンバーも、コンニャクのりで加工をしていない和紙を染めるのは初めてで、「和紙が染め液の中で溶け始めるので、みんな慌てました」と塩見勝美さんは、苦労の一端を明かします。今年は、由良川藍を復活させて35年。オリジナル製品の誕生と重なったことに、「新しい視点で藍が使ってもらえることを喜んでいます」と言います。
 漉いた名刺は、乾燥段階で一枚ずつ、ツバキの葉でこすって伸ばし、最後まで手作業で仕上げられます。田中さんは、「手間をかけ、作りにくいものを作ることで魅力ある製品が生まれる」と職人魂をのぞかせます。

 一般販売を予定する9月上旬を前に、すでに注文があり、問い合わせも増えています。
 続くコラボ商品のアイデアでは、藍染めの和紙と漆塗りの3つの伝統の技を融合した扇子を考案中。「土地に根付く昔ながらの文化、伝統をしっかり生かし、融合という新たな形で地域ブランドとしても広められたら」と期待を込めます。

 藍染め名刺は、色の濃さの違う2種を用意し、50枚単位で販売(3000円)。桐(きり)箱入り。問い合わせは、田中さん☎0773・56・0743。

(写真上=濃さの違う藍色の名刺。下に敷いた和紙は楮の繊維を漉き込んだ雲龍和紙、写真下=初コラボ商品の名刺を漉く田中さん

(「週刊京都民報」8月27日付より)