江戸時代に日本で独自に発展したスライド映写芸能「錦影絵(にしきかげえ)」の上演会とワークショップ「虚實皮膜の間(にしきかげえ・ふいるむのあわい)」が7月2日、京都市中京区のおもちゃ映画ミュージアムで行われます。

■大阪芸大・池田教授らのグループが企画、ワークショップも開催

 上演、ワークショップを行うのは「錦影絵」の研究・復元・新作づくりを進める池田光惠・大阪芸術大学教授と教え子らによる「錦影繪 池田組」。

 上演作は、空き巣泥棒と化け物たちの滑稽なやりとりが楽しい創作小ばなし「憑いてない日」とはじめ、幾何学的な花が美しい「花輪車」、長編作からこまの動きの場面を抽出した「曲独楽(きょくごま)」。ワークショップでは、自ら作ったスライドを使い、短い物語の映写にチャレンジ。子どもも参加できます。

 錦影絵は、「風呂」と呼ばれる桐製の幻燈機に、「種板(たねいた)」と呼ばれる着色したガラス製のスライドを取り付け、手すき和紙を張り合わせた大型スクリーンの裏側から映写するもの。

 和製幻燈機は、明和年間(1764~72)に西洋から輸入した金属製幻燈機をもとに、日本の指物細工の職人が木で制作。光源にランプを用い、金属製で高温となる西洋のものと違い、桐製で熱が伝わりにくく、軽量なため、持って移動することを可能にし、世界的にもユニークな芸能として発展する道を開きました。

 上方では、暗所の舞台で、複数の木製幻燈機を使い、語りや音曲にあわせ浄瑠璃や歌舞伎などの物語を映し出す公演が始まり、人気を呼びました。

 京都最後の幻燈師(=演者)・歌川都司春の種板や芸は噺家・桂南天(初代)から米朝事務所に受け継がれ、大阪歴史博物館や兵庫県立歴史博物館にも種板が収蔵されています。

 池田教授は2004年、自ら和製幻灯機と種板の復元制作を開始。「錦影繪 池田組」を立ち上げ、講演とともに、古典作や自ら書き下ろした新作の上演を国内外で行ってきました。

 午後1時半(1時開場)。入館料500円、公演観覧500円。ワークショップ参加者(要予約)は材料費500円。問い合わせ☎0721・93・3977・内線3658(池田研究室)。