箏曲の始祖で、「六段の調べ」などの作曲者として知られる八橋検校(けんぎょう)(1614─85)の業績と威徳をしのび、命日の12日、「第69回八橋祭」(井筒八ッ橋本舗主催)が菩提寺の常光院(京都市左京区黒谷)で開かれました。和菓子業界関係者、百貨店経営者、小売業者ら約100人が参加するなか、法要と講演が行われました。

 同祭は、同社が1949年から同寺で催しているもの。法要は、梶田大介住職の読経で営まれ、邦楽家で日本音楽史研究者の釣谷真弓さんらが八橋検校の「乱」を奉納演奏しました。

 講演の講師は釣谷真弓さんが務め、筝の歴史や八橋検校の業績を解説。貴族や武士の間で雅楽の楽器として演奏されてきた筝を三味線奏者だった八橋検校が学び、楽器や奏法の改良や調性の改革を加えて独奏楽器につくりあげたことを紹介。「子守唄変奏曲」、ペルシャ民謡などを演奏しました。

 講演に先立ち、津田純一・同社取締役相談役の司会のもと、同オーナーの六代・津田佐兵衞氏が「八橋検校が京都に与えた多大なご利益、影響に感謝し、八橋祭を続けてきた。業績を広めて欲しい」とあいさつ。杉野善彦・代表取締役が閉会のあいさつをしました。

 参加者には津田佐兵衞氏がこの日のために研究の成果をまとめた小冊子「井筒茶店と歴代津田佐兵衞物語り」が配布されました。