憲法守る党と人に期待

作家・吉村康さん

 父は出征先のビルマで戦病死しました。終戦の翌年、父の戦病死者状況概要書が届き、野戦病院で亡くなったとありました。しかし、後に、調べて分かったのは、「野戦病院」とは名ばかりで、実態はテントもベッドもない露天の傾斜地で、食糧も薬もなく雨ざらしのまま最期を迎えたらしいということでした。
 父親を戦争で亡くすのは、私たちの世代で最後にしてほしい。もう2度と、あんな戦争を起こしてほしくない。そんな願いを反映して憲法9条が生まれました。世界に冠たる条項であり、日本の宝です。東アジアの国際情勢が複雑だといっても、戦争が平和を生むことはありません。私はこの憲法をぜひとも子孫に残したい。
 今、憲法改定のハードルを下げようと96条改憲を進める動きがありますが、賛成できません。「3分の2以上」という高いハードルには意味があり、なにより、憲法の擁護義務が課せられている政治家がこんなことを言い出すのはおかしいでしょう。参院選では、今の平和憲法を守る党と人に期待したいです。(久御山町遺族会長)
「週刊しんぶん京都民報」2013年6月30日付掲載)