京都革新懇は17日、環太平洋連携協定(TPP)参加問題をテーマにした講演会を、京都市中京区のハートピア京都で開きました。友寄英隆氏(元月刊「経済」編集長)が講演し、90人が参加しました。
 主催者あいさつで森川明代表世話人は、「政府が東日本大震災対策本部を立ち上げたのは発生後4日目だった。原発事故も東電まかせになっている。本題に加えてこのお話もしていただく。今こそ命・安全を大切にする政治が求められている」と述べました。
 友寄氏は冒頭、「大震災と原発事故の衝撃で日本の政治・経済・社会の根本的再検討―経済政策のパラダイム転換―が迫られている」と資料を示し訴えたあと、「国際競争力とTPP」と題して講演。①雇用・賃金の切り下げ、法人税率引き下げ、大学政策、TPPの根は同じ。TPPは大資本のために国内産業を「国際競争力」を基準に選別するもので「国際競争力論」の最も鋭い現れのひとつ②「国際競争力」の本来の意味は「商品の競争力」「企業の競争力」であったが、国家間の制度、政策の面から推進する「国際制度間競争」に変質させてきている③「経済共同体」の2つの道、消極的統合政策、積極的統合政策、前者は米国が推進してきたTPP型、各国の経済規制や経済政策の違いを除去し、国境の障壁を撤廃して資本の競争条件を一致させる道。後者はEU型、国民国家単位ではできない新たな共通の経済政策を、地域的に協力して実現する経済共同体、共通の農業政策、共通の独占禁止政策、共通の環境政策、共通の知的財産権政策、共通の通貨政策などを積極的に積み上げていく道である―と、豊富な資料をもとに説明しました。
 最後に友寄氏は「正しい科学的な方針、要求、政策は、一時的に変革の運動が後退しても必ず歴史の中で貫かれる。21世紀の日本は変革の時代を迎えている、草の根からの底力が試されている」と結びました。
 参加者からは「震災のテーマ、本来のテーマとも大変参考になりました。私は農業をしていますが、TPP参加によって、日本の農業が壊滅的影響を受けることが一層鮮明になりました」などの感想が寄せられました。(越智)