地域経済の応援を 日本共産党府議団(新井進団長、11人)は24日、京都府に対し、家計と中小企業、京都の地域経済を応援する「緊急対策」を求め、申し入れました。
 「緊急対策」では、各地で大きな経済効果をあげている住宅リフォーム助成制度の創設や中小業者への固定費補助、入札資格に関わらず小規模業者にも仕事を発注を行うなど、仕事おこし・雇用確保対策を求めました。また、障害者42人を解雇した「テレビエンタメストア」の問題を取り上げ、府が解決に責任を持つよう求めました。
 山下晃正企画理事・商工労働観光部長が対応し、「『テレビエンタメストア』の障害者解雇問題については、緊急雇用基金の活用を含めて対応している。2月補正、来年度予算編制で提案の内容も検討したい」と述べました。
 梅木のりひで、まえくぼ義由紀両副団長、みつなが敦彦幹事長、かみね史朗、原田完、山内よし子、さこ祐仁の各議員が参加しました。
 「緊急対策」の全文は以下の通り。


家計と中小企業、京都の地域経済を応援する「緊急対策」を

日本共産党京都府会議員団
団長  新井  進

 年末を迎え、府民生活は厳しい状況に追い込まれている。特に中小零細企業や個人事業主、建築関係者などの営業はかつてない危機にさらされている。また、雇用問題も深刻で、今年度の高校生や大学生などの新卒者就職率は過去最低という状況のまま推移し、「超氷河期」と言われる事態になっている。また、本年3月に、トステム綾部工場閉鎖で200名以上の労働者が解雇されるという事態が発生したが、6月に開店したばかりのイオンモールKYOTOに出店していた「テレビエンタメストア」の運営会社が倒産し、年末に障害者42名を含む74名が解雇されると言う事態が発生した。
 わが党に寄せられた府民アンケートは3000通を越え、雇用の改善や医療、社会保障の充実など、多くの府民の方が、いのちと暮らしを守る緊急の対策実施を求めており、いまほど「住民の暮らしを守る」府の役割発揮が求められているときはない。
 この間、雇用や経済対策の推進のために国から「基金」や「交付金」が府に交付されており、基金の残額は今年度末で約470億円となる。12月に示された「地域活性化交付金」だけでも15億円に上る。これら基金の活用も含め、暮らし最優先に運用していくことが求められている。
 わが党議員団は、こうした府民生活の状況を踏まえ、府が2月補正予算や来年度予算編成にあたり、これまでの発想や慣行にとらわれず府民を応援する以下の具体的な「緊急対策」の実施を求めるものである。
1 地元の仕事おこしと中小業者への支援を
 中小業者の「仕事がほしい」の声は切実である。景気対策、仕事おこしに思い切った施策を実施すること。

  1. 経済効果抜群の「住宅リフォーム助成制度」をただちに実施すること
     全国の自治体で、緊急経済対策として、住宅リフォームへの助成制度が広がっている。県レベルでは秋田県が実施。岩手県や宮城県も実施の方向であり、市町村を含めると、実施自治体は175自治体になっている。今年度初めて実施した秋田県では、11月30日までに約18億円の補助で、リフォーム工事の総額は277億円余。また、昨年4月から、この制度を開始した京都府与謝野町では、町内の12.5%の世帯(賃貸住宅を除く)が利用、地元業者の7割近くに仕事が回っている。
     京都府に、政府の緊急総合経済対策として配分される「地域活性化交付金」などを財源とすれば、「住宅リフォーム助成制度」は、京都府や各自治体で、すぐに実現できる。
     また、国は市町村の「住宅耐震改修助成制度」に最高30万円の上乗せすることを明らかにした。この制度を周知、活用して遅れている耐震改修を促進すること。また、来年度以降も実施するように国に働きかけること。
  2. 中小業者の固定費助成制度を拡充すること
     「ものづくり」の中心業種である機械金属産業は、小規模であっても仕事確保のため、NC旋盤など最新の工作機械をリースで導入している。一般的なNC旋盤(2500万円程度)を7年リースで導入すれば毎月50万円近い支払いとなり、負担しきれず行きづまる大きな原因になっている。他の業種でも同様である。府は「京都産業21」の制度でリース料の補助に踏み切ったが、他の機械設備を導入した業者も府のリース料助成の対象とし、雇用と営業を守る観点から中小企業への直接支援を拡充することを求める。

2 高校・大学など新規卒業者に働く場の確保を
 京都労働局の調査では、来年3月に卒業予定の府内大学・短期大学生の就職内定率が、10月現在37.7%と極端に低調であることが明確になった。その後の全国の動向を見ても、統計を取り始めて以来最悪の就職状況であることが浮き彫りになっている。府内高校生も特に北部での就職状況の厳しさが顕著である。
 大企業に対して求人拡大の責任を求めるとともに、新規卒業者の就職のために、府が緊急雇用対策基金の活用にあたって、次のような活用を図ることを求める。

  1. 新規卒業者が就職するための丁寧な支援を
     11月補正予算で提案された「高校新卒未就職者対策(100名)」の研修場所の北部での増設、「大学新卒等未就職者対策(60名)」の規模を大幅に拡大すること。
  2. 中小企業への就職を支援するために府独自の補助金など特別な手立てを
     国の「トライアル雇用」制度、11月議会で提案された「企業等公募型事業による新卒等未就職者対策(100名)」などの活用に留まらず、中小企業の人材確保、技術継承の観点からも、中小企業が新たに雇用をする場合の府独自の補助金制度をつくること。
  3. 伝統産業の後継者育成に特別に力を注ぎ、後継者を育てる事業を
     山形県では3400万円の基金活用で「地域伝統工芸担い手人材育成事業」として、米沢織の後継者10人を育成する事業に取り組んでいる。京都の伝統産業にとって後継者育成は存亡の課題である。雇用対策基金事業を活用し、後継者育成事業を具体化すること。

3 子育て支援・医療・福祉の基盤整備、処遇改善、教育条件の充実など
生活密着型公共事業優先で仕事おこしと雇用拡大を
 特別養護老人ホーム入所希望者や保育所待機児童の解消は喫緊の課題である。これら医療・福祉・教育条件の充実など府民生活に密着した事業は、雇用を生み出し、仕事おこし、地域経済の再生につながる。与謝野町では、福祉施設の建設費用に対し最大1500万円の補助を上乗せ支援し、福祉の充実による地域経済の活性化が進められている。今では福祉関係の雇用が5年前の1.38倍の450人にのぼり、福祉分野で与謝野町の地域経済が支えられている。府も思い切った医療・福祉・教育条件の充実や府民生活関連公共事業を優先することが必要である。
 同時に、地元業者の仕事おこしと雇用確保に繋がるように工夫し、地元優先、小規模業者優先の原則で発注を行なうこと。小規模なものは「入札資格」にとらわれず、小規模業者に発注すること。

  1. 子育て支援策の緊急拡充を
     子どもの医療費助成制度の対象を、当面通院について小学校卒業まで緊急に拡大すること。また、年度末や新年度を目前に控え、経済的理由により進路が左右されることのないよう、就学援助制度の創設や給付制奨学金も含めた各種奨学金制度の充実を行なうこと。
  2. 一刻も早く待機者、待機児の解消を
     基金の積極的活用で特別養護老人ホーム、保育所の建設に力を注ぐこと。また、介護職員など福祉労働者の処遇改善も雇用拡大のため緊急の課題である。処遇改善に府も独自努力を行なうこと。
  3. 生活密着型地元優先事業の具体化を
     学校施設の小規模改修などを地元業者に緊急発注

    • 府立学校に各学校の判断で使える「緊急整備金」(仮称)を措置し、必要な改修が進む対策をとること。
    • 使途は各校の判断によるが、例えば「割れたガラスや暗幕などの修繕」「トイレの改修」「備品の購入」などとする。
    • 地元中小業者に発注し、入札資格を持たない業者も受注できるようすること。

    府営住宅の緊急改修、改善事業
    ・現在居住者負担である「畳の入れ替え」等に補助を行なうこと。また小規模改修事業を広く行ない、地元中小業者に発注し、入札資格を持たない業者も受注できるようすること。

4 年末、年度末にむけた緊急対策を

  1. 年末年始の生活困窮者、離職者などに対する生活支援、年末見舞金、暮らしの資金貸付金、無利子小口緊急貸付等の中小企業の金融対策など、府の機関をあげて万全の対策を講じること。
  2. イオンモール京都内の「テレビエンタメストア」閉店により解雇された障害者42名を含む74名に対し、未払い賃金の支払いと雇用の確保に全力をあげること。この問題は、ハローワークとともに京都府も当初から関与しており、府が解決に責任を持ってあたること。
以上