日本に帰ってきてから1ヶ月くらいしてから、病院の先生からパリ経由で手紙が来た。「あなたたちのくれた薬でどれだけの子どもと病人が助かったかわからない。私たちは日本を信用します。あなたを信用します。これからも一生仲良くしてください」という手紙をいただいて涙がでました。(拍手)
 どこの国の人たちも、一人ひとりはとても良い人なんですよ。それがなぜ戦争するか。それこそ国を司っている政治家が、その国の利益のために、石油のため、お金のために喧嘩するのであって、自分と相手の考えが違うなんて当たりでしょう。人間だってみんな顔の表情が違えば考えも違うんですよ。考えが違う相手を認めなきゃいけない。そうしたら喧嘩にならないです。相手の立場を考えて今どういうことで苦しんでるのか、どういうことで悲しんでるのかということは、顔を見たらわかりますよね。想像力を働かせて、相手の痛みをわが身の痛みとする心があれば戦争なんてできません。(拍手)私たち人間ていうのは、それくらいの教養があると思うんですよ。
 人間は相手の違いを認めなきゃいけませんよね。戦争くらい卑劣なことはありません。私の身内は父は職人で、貧乏で教養もないんですよ。父親も母親もろくに本も読まない。私たちはお金持ちの友達の本を読んでいる。小学校の2年から図書館に通っておりました。私は本を読みます。
 そういう家庭ですから、この戦争が正義の戦争だって頭から信じてるんですよ。カンカン鳴ったら母親は走り回っておりました。私も、この戦争は正義のためだと思っておりました。東京女子大学におりました、鶴見さんのような優秀な立派な家の子達がいっぱいきてるんです。その人たちは、お父さん方も教養があり、この戦争は間違っているって言ってましたよ。私は、非国民かと思ってましたけど(笑い)。