廣誠院・文化講演会 「京都民報Web文化講演会」が22日、京都市中京区の廣誠院で行われました。青紅葉が映える市中山居の赴きのある庭に面した書院・次の間で染織家・吉岡幸雄氏と「唐長」11代・千田堅吉氏の講演に40人が耳を傾けました。
 吉岡氏は、再現した平安貴族の紫、青、紅などの絹織物を披露し、当時の貴族が自然の色、花の色を再現することに心を傾けていたことを紹介。源氏物語の「鈴虫」「野分」をひもときながら、夏の光を透過させる見事な染と織の高い手仕事の技術水準を讃えました。
 千田氏は「唐長」に伝わる650種の版木のデザインが季節を問わず使われる「削ぎとられた意匠」とのべ、柄行で奥行を感じたり、外からの光や景色を映すなど主張しない美しさがあると語りました。
 参加者を交えたトークでは、「唐長」女将の千田郁子さんも加わり、仕事を継いだ当時のエピソードなどアットホームな話題で盛り上がりました。参加者から「今後どんな仕事をされるのか」の問いに吉岡氏は「平安期の技術に達するにはまだ程遠い。でも機械では決して出来ない手仕事ならではの良さを伝えていきたい」と話していました。