京都市の新景観条例制定を記念したシンポジウム(主催・きょうと景観ネット)が14日、京都市内で行われ、市民ら約70人が参加。まちづくり運動の成果として確認するとともに、歴史都市京都の保全・再生に向けた課題について意見を交わしました。
 シンポでは、「まちづくり市民会議」事務局代表の中島晃弁護士は、新景観政策実現の要因について、業界団体の反対行動を中心的に取り上げるマスコミ論調の中で、「『きょうと景観ネット』に集まる団体、個人の運動や市民の支持がなければ実現は困難だった」と指摘。同市民会議代表委員の木村万平氏は、06年1月以降で市内中心部(「田の字」・御所南)のマンション建設(予定含む)が98棟に上るとの最新の調査結果を発表し、「大半が11階建て・100戸超の巨大高層マンションで、条例施行前に規制を免れる駆け込み建設となっている。住民運動の立ち上がりが必要」と提起しました。
 日本マンション学会会員の梶浦恒男大阪市立大学教授は、マンション建て替えや資産価値への影響を危惧する意見があることについて、そもそも容積率いっぱいに建てられている現在のマンションの建て替えそのものが困難であるとし、「きちんと修繕を行い長く住むと同時に、地域との豊かなコミュニティづくりを進めることが資産価値につながる」とのべました。
 *新景観条例は、中心市街地で最高45メートルを31メートルに引き下げるなど市内ほぼ全域での高さ規制強化やデザイン規制、世界遺産や山並みなどの眺望・借景の保全を定めたもの。3月の京都市議会で関連6条例が可決され、9月1日施行されます。