国の史跡・船岡山(京都市北区)の南側斜面地に、高さ約19メートルのマンション(27戸、地上5階・地下1階)が建設された問題で、周辺住民ら41人が22日、名古屋市の開発業者など3社を相手取り、景観権を侵害されたとして、高さを10メートル以下にするマンションの一部除去工事と1億3799万円の損害賠償など求めて京都地裁に提訴しました。
 訴えられたのは、施主の「ユニホー」(愛知県名古屋市)と建築業者の「麦島建設」(同)、マンションを所有する不動産会社の「ジョイント・コーポレーション」の3社。訴状によると、マンション建設(06年12月完成)によって、船岡山の眺望景観が損なわれたことは住民の景観権や景観利益の侵害に当たり、建築行為そのものも規定の建ぺい率を超えるなど違反があると指摘。また、建築工事に伴う騒音・振動被害による生活環境の悪化を訴え、安全対策上必要な排水施設と独立擁壁の設置工事を求めています。
 提訴後の会見で、弁護団の秋山健司弁護士は、「高さ10メートル以下は、住民らが『船岡山の景観を壊していけない』と努力して守ってきた建築秩序。『マンションを建てるな』ではなく、この秩序に沿った建築物を求めるという訴え」と強調し、住民は、「マンション建設によって失われた景観をこの裁判で取り戻したい」と話しました。