総務省がNHK短波ラジオ国際放送で拉致問題を重点的に扱うよう放送命令を出す方針を固めたとされる問題で、自由法曹団京都支部(村井豊明幹事長)は20日、放送命令の撤回を求める抗議声明を発表し、安倍首相と菅義偉総務大臣あてに送付しました。
 この問題は、菅総務相が13日の閣議後の記者会見で、「NHKは命令放送を行わせることができる。内閣が代わって、拉致問題が国の最重要事項になっていることは間違いない。そういうことを含めて検討したい」とのべ、NHKの短波ラジオ国際放送で拉致問題を重点的に扱うよう命令することを検討する考えを示したことがきっかけ。総務省は、NHKに対する命令書を、毎月1回開催される審議会の次回会合に諮問する意向を固めたと報道されています。
 抗議声明は、「放送を、時の政権に奉仕するプロパガンダ機関として利用しようという極めて危険な企みである。政治権力によるこのような言論・報道の自由への重大な介入」「近時、ビラを配布しただけで逮捕され、日の丸、君が代に反対したために処分される等、戦前の軍国主義日本を想起させるかのごとき事態が生じている下で、このような放送命令を許すことは、我が国の民主主義を深刻な危機に陥れるもの」と指摘し、断じて許すことができないとのべています。