第二次世界大戦末期の「中国人強制連行・強制労働事件」のうち、京都・大江山ニッケル鉱山における強制労働についての謝罪と損害賠償を求めて闘われていた「大江山ニッケル鉱山・中国人強制連行強制労働損害賠償訴訟」は9月27日、大阪高裁で「請求棄却」の不当な判決が出されました。
 判決は、強制連行・強制労働を国の不法行為の事実と認定し、また、個々の中国人原告の被害事実も認定はしたものの、「国家無答責」(戦前の国家の権力行為については損害賠償を請求をおこなうことができないとする非民主的な法理論。法律上の根拠のない理論で法曹界でも批判が強い)をふりかざして、原告らの請求を『一刀両断』に切り捨てました。
 弁護団(団長畑中和夫弁護士)は、「判決は、加害の事実は認定しながらも、『国家無答責』の法理によって不法行為の成立を否認した。除斥期間、軍需会社法、安全配慮義務についての主張にも、真摯に答えようとはせず、証拠に基づかない恣意的な判断をした」「その基調において、正義と人間の尊厳を擁護するという、真に法のあるべき立場を放棄している」「中国をはじめとするアジア諸国民に対する加害責任の歴史認識を欠き、その結果を安易で形式的な判断に陥っている」等を骨子とした抗議声明を発表しました。
 中国人戦争被害者の要求を支える会京都支部は、判決のあった27日夜、京都市中京区の「こどもみらい館」で報告集会を開きました。市民約30人が参加し、判決の内容説明や今後の訴訟と運動の報告を確認しました。集会には、中国人弁護士の康健さんや、中国人強制連行・強制労働事件弁護団全国連絡会の森田弁護士も参加しました。(中村秀利)
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 同裁判の問い合わせや激励は、支える会京都支部(事務局長桐畑米蔵TEL075-642-3152)まで。