アフリカの伝統的音楽を生かし、独自の音楽を創造した南アフリカ出身の世界的ジャズ・ピアニスト、アブドゥラー・イブラヒム(別名ダラー・ブランド)のチャリティーライブ(実行委員会主催)が9月30、10月1の両日、上賀茂神社(京都市北区)の祭事会場「庁ノ屋」で開かれました。
 板の間にスタンウェイ製ピアノ1台というシンプルな舞台で、ピアノをふくめ3カ所だけをピンスポットで照らす幻想的な雰囲気の中、会場いっぱいの約300人の観衆を前にアブドゥラーは、虫の音や小川のせせらぎと共演するように、アフリカ風の躍動感に満ちた旋律、哀愁を帯びた都会的な調べ、ゴスペル風のメロディーなどを織り交ぜ、約1時間の即興演奏を披露しました。
 観客は、瞑想(めいそう)にふけるように演奏に聞き入り、感極まってすすり泣く人も。最後は立ち上がって拍手を送りました。

 ライブは、アブドゥラーが創設・主宰する音楽学校「M7」の支援のために開かれたもの。左京区出町柳のジャズ喫茶「ラッシュ・ライフ」とその関係者がボランティアで企画・運営を担当しました。
 ライブ終了後、メンバー1人ひとりとアブドゥラーは握手をかわし、最後に「1本締め」をしました。「ラッシュ・ライフ」の茶木哲也代表は、「ボランティアは、本当によくがんばってくれました。アブドゥラーさんも2日ともすばらしい演奏でわれわれの期待に応えてくれました」と感謝の言葉をのべました。
 
 アブドゥラーは「上賀茂神社という会場、熱心なボランティアで運営されたこと、子どもも含めジャズファンだけでない幅広い観衆、どれもすべてがスペシャルなライブだった」と語っていました。(平山伸一)