事務上のミスを理由に退職金を減額するのは不当として、私立洛陽総合高校(中京区)の元教諭畠山智恵子さん(62)が同校を経営する学校法人洛陽総合学院に退職金の全額支給を求めていた訴訟の控訴審(大阪高裁)で27日、「勤続の功労を減殺するほどの背信行為とまでいうことはできない」との1審の京都地裁の判決に沿って、同学院が358万円を支払うことで和解しました。
 畠山さんは1966年、家庭科教師として同高校の前身の洛陽女子高校に就職。労働組合を結成し、教育・労働条件改善のために運動をしてきました。 
 学校は、畠山さんの定年退職の03年3月の4カ月前に就業規則を変更。畠山さんが出席日数を2回間違えたことなどを理由に、退職金313万円を削減して支給しました。このため畠山さんは、就業規則変更は同氏の退職を「狙い撃ちしたもの」と同学院に退職金全額支給を求めて03年10月に京都地裁に提訴したものです。05年7月の1審判決は、原告の主張を全面的に認め、退職金全額支給を命令。これを不服として学院側が控訴していました。
 畠山さんは同日、京都地裁内での記者会見で「教職員の職務上のミスが個人責任のみ追及されるのではなく、学校全体で防止するよう努めることが和解で確認されました。教職員と生徒にとっていい学校にするために出発点になると思います」と語りました。
 弁護団の村井豊明弁護士は「原告の全面勝利の和解だと思います。労働組合活動を保障することも和解条項に入り、職場での不当労働行為をなくす条件ができたと思う」と話しています。