【衆院選2026/京都から問う】〔原発〕原発新設に公的融資制度案、国民は黙っていてはいけない/龍谷大学教授・大島堅一さん

トラブルでも再稼働に固執
高市自民党政権は総合経済対策(25年11月)に、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働は重要だと明記し、何が何でも再稼働させました。ところが、柏崎刈羽原発は再稼働した翌日にはトラブルが発生し、原子炉を停止。2月26日予定の営業運転の見通しは立たなくなっています。東電はあくまで一時停止であり、再スタートさせるとしていますが、本来なら再稼働は直ちにやめるべきです。そもそも東電は、福島第1原発事故を起こした当事者です。そんな事業者に原発を動かす資格はなく、柏崎刈羽原発は動かしてはならない原発です。
昨年、政府が閣議決定した「第7次エネルギー基本計画」は、福島第1原発事故後に掲げてきた「原発依存度低減」を削除し、原発の「最大限活用」として原発の新増設を明記しました。大手電力会社の要求を丸のみした露骨な原発推進方針です。
原発再稼働どころか、新増設に舵を切った政府にとって、事故を起こしても原発を動かすことができることを示したい。だから、政府は再稼働に躍起となっています。
際限ない国民負担に
さらに、原発の新増設のため、公的融資制度案を検討していることが分かりました。原発の新設コストは上昇し続け、既に数兆円規模となっています。そこで、大手電力会社は公的融資をかねてから要求しており、これに応えたのが新たな公的融資制度案です。
それによると、政府が全国の電力の需給調整などを行う広域機関に補助し、この広域機関が事業者に融資を行うとしています。融資の対象となるのは大規模脱炭素電源、つまり原発です。これに火力が含まれる可能性もあります。万が一、返済が滞った場合のために、一般送配電事業者からお金を集める仕組みもつくりるとしました。間接的にその負担をするのは消費者です。原発の建設費を国民に負担させようというもので、際限のない負担を国民は負わされることになります。
しかも、大手電力会社の要求はこれにとどまりません。九州電力の社長は新聞のインタビューで、原発の建設期間中にも利益が生まれないとやっていけないとして、建設期間中にも利益が出る仕組みを要求しています。政府はこれにも応えて、仕組みをつくるでしょう。その財源は、税金や電力料金に中に含まれることになるのは間違いありません。
「原発ゼロ」願う声忘れるな
経済産業省は、融資制度案に関連する法改定案を選挙後の国会に提案しようとしています。国民負担だけでなくエネルギー政策の根幹にかかわる問題であり、国民、有権者は黙っていてはいけない。総選挙で、しっかりと判断することが求められています。また、原発ゼロを願っている有権者がいることを候補者は忘れるべきではないと思います。



