京都市が団体交渉に応じるまで頑張り抜くと訴える学童保育・児童館支部のメンバー

 京都市が、児童館・学童保育所(139カ所)の職員の処遇について、同職員らでつくる全国福祉保育労働組合京都地方本部(京都地本)との団体交渉を拒否している問題で、京都地本は、市の行為が不当労働行為に当たるとして、団交に応じるよう求めて府労働委員会に救済を申し立てる(昨年12月)とともに、粘り強い運動を展開しています。5月1日のメーデーを前に、団体交渉の再開を勝ち取ろうと決意を新たにしています。

 30年間続いてきた団体交渉(*)を一方的に市が拒否して約1年。京都地本は昨年7月から、毎月2回の朝宣伝に取り組んできました。4月14日、市の児童館と学童保育事業を所管する部署が入るビル前(中京区)には、約30人が並びました。京都地本学童保育・児童館支部(学児支部)に加え、京都総評や京都社保協などのメンバーが応援に加わります。

 マイクを握った学児支部執行委員の畑裕樹さんは、勤務する学童保育所の子どもの登録数が今年度約150人で、数年前の2倍にも膨らんだことを告発。「団交は現場の声を伝える唯一の場だったのに、市はその場を一方的に奪い、職場環境の改善をしようとしていません。しわ寄せは子どもたちに行くだけです」と訴えました。

昨年7月から毎月2回行っている朝宣伝(4月14日)

 宣伝行動は、現在までに20回を数え、参加者はのべ500人となりました。門川市長宛て、府労委宛ての要請署名はそれぞれ、約6000人分に達しています。市内の保育所前で、保育士らが保護者に署名を訴えてくれたり、全国の支援を受け、署名は着実に広がっています。

 3月12日には、府労委による市と組合両者への1回目の調査が実施されました。市は、30年間続いてきた団交は「懇談」などと主張し、既成事実化しようとしています。

コロナ禍のもとで役割増す学童職員

 コロナ禍のもと、働きながら子育てをしている家庭にとって、また子どもたちの発達を保障するためにも、児童館・学童保育所の役割は一層増しています。

 現場の職員はエッセンシャルワーカー(生活維持に欠かせない仕事に従事する労働者)なのに、低賃金のもと毎年、大量の離職者が出る劣悪な労働条件に置かれたまま。施設は子どもたちですし詰め状態です。

 学児支部執行委員の玉木千草さんは、市の狙いを「団体交渉を拒否することで使用者責任を放棄し、財政難を理由に児童館・学童保育所の運営費をカットしたいのでしょう」と指摘します。その上でこう訴えます。「コロナ禍に市がやるべきことは、現場の声を聞き、現状を改善することです。運動と世論で何としても突破したい」

 *京都地本が団体交渉権を獲得したのは1989年。市の児童館・学童保育事業は指定管理者制度によるものも含め、市が民間団体に運営を委託しており、職員の賃金などは、実質的に市の委託料で決定する仕組みです。京都地本は団交権を得て以降、毎年、市と協議し、給与表が決定。算出された給与総額を含む運営費が各施設に支払われてきました。この結果、どの児童館・学童保育所でも同じ労働条件が実現し、児童館・学童保育の一定の質が担保されてきました。