3月22日告示、4月8日投票の府知事選で、立候補を表明した弁護士の福山和人(かずひと)氏(56)=京都弁護士会元副会長=を支援する市民でつくる「つなぐ京都」(仮称)は2月18日、京都市上京区で府民と自由に政策を語り合う「福ちゃんのつながるミーティング」を開きました。福山氏が決意と政策案を紹介し、参加した市民から、地域経済、雇用、農業、原発問題など、さまざまな政策や要求が出され、交流しました。

■福山和人氏が政策大綱(第一次)発表

 福山氏は、高校時代に野球部で甲子園出場とプロ野球選手を目指して猛練習したことや、弁護士となって労働問題などに取り組んだ経歴を紹介。知事選へ立候補した決意について、雇い止めや倒産などの相談に応じる中で、きちんと権利が保障された社会を実現する必要を感じ、「京都府民でよかった、とみなさんに実感してもらえる府政を実現したい」と述べました。

 知事選に向けた政策大綱(第1次)=別掲=を発表。中学校給食実現や給付制奨学金制度を実現する「ストップ貧困京都宣言」、中小企業振興基本条例を制定し循環型の経済政策をめざすことなど、4つの分野で38項目の政策について解説しました。

 福山氏に期待するメッセージや、参加者からの発言がありました。フリートークでは、参加者が自由に要望や政策について発言し、福山氏が回答。中小企業や個人事業主の支援、商店街活性化、アルコール依存症患者の支援、朝鮮学校の無償化、京都ジョブパークの充実など就職・雇用対策支援、府営住宅や映画館のバリアフリー化などの意見が寄せられました。

 福山氏は要望や質問に丁寧に答えながら、「これからもみなさんの要望を聞き取りながら政策を充実させていきたい。現府政のいいところは継承し、変えるべきところは変えていく。『つなぐ京都』実現をめざしていきます」と語りました。

 司会を務めた西郷南海子さんは、「素直な意見がたくさん寄せられたと思います。すでにある政党や団体ではなく、誰もが参加できる場をつくり、政策を作り上げたいと思って企画しました。市民が作り上げた新しい枠組みで、知事選にチャレンジしていきたい。一緒にやりたいという方はぜひボランティアとしていっしょに頑張りましょう」と呼びかけました。

1夢をつなぐ~ストップ貧困京都宣言
(1)府が貧困をなくすため先頭に立つことを宣言し、実態調査を行う。
(2)生活保護の捕捉率を向上させる
(3)待機児童ゼロを目指し、市町村と連携して積極的な対策を講じる
(4)中学卒業までの子どもの医療費を無料にする。そのために市町村を援助する
(5)中学校給食の実施と計画的無償化
(6)府立私立の高校学費について資力要件のない段階的無償化を目指す
(7)給付型奨学金の創設
(8)京都府の発注する公共事業について時給1500円と地元優先発注を定めた条例(公契約条例)を制定する
(9)ブラックな働き方を根絶するために関係団体と協力しながら啓発、相談、指導等の体制を強める
(10)高齢者に対する府の老人医療助成制度(いわゆるマル老)を拡充する

2なりわいをつなぐ~雇用を促進し暮らしと地域を守る持続可能な循環型経済
(1)中小企業地域振興基本条例を制定し、地域実態に応じた産業政策を府が策定し、中小企業を援助する。大企業の役割を明記し、地域と大企業、中小企業がともに発展するウィンウィンの関係を作る
(2)中小企業の従業員の奨学金返済に対する府の援助制度の拡充
(3)中小企業の社会保険料負担について国に軽減を求める
(4)商店街カルテに基づき商店への支援を抜本的に強化する
(5)介護・保育分野の人手不足解消のために、人件費補助、家賃補助制度を創設する
(6)府の「民間社会福祉施設サービス向上補助金」の2018年度からのカットを見直し、地域で頑張る福祉施設・保育園等を支援する
(7)地域生活の維持に不可欠な道路、橋、港湾、河川等、府が管理するインフラの整備を積極的に進め、地元業者の底上げを図るとともに、防災力を高める
(8)住宅リフォーム助成制度、断熱工事助成制度等を創設する
(9)官公需法に基づく官公需適格組合制度の活用により地元の優良業者に優先的に仕事を回し、経済底上げと地域のニーズに応える
(10)バイオマス等の自然エネルギーの活用事業を促進し、新たなビジネスを創出する
(11)伝統産業や時代劇、アニメなどの京都固有の文化の保護・継承を図り、それを支える雇用を守る
(12)府立大学をはじめとする府内の大学や研究機関と連携して、府内及び全国の進んだノウハウに学びながら、地域の実情に応じた循環型の産業政策を住民とともに作り、持続可能な地域づくりをすすめる
(13)戸別所得補償制度の打ち切りに伴い、府として農業・農村の維持への独自所得補償制度の検討などを行う
(14)林業者に多大な影響を及ぼすCLTについて十分な検証を行い対策を講じる
(15)府民に多大な財政負担が生じる大型公共事業については、一旦立ち止まって必要性、弊害の有無、住民合意等の観点から十分検証する

3未来へつなぐ~京都のみらいを切りひらく
(1)原発再稼働については「同意権」を含む立地県並みの協定を電力事業者に求める
(2)ヨウ素剤の配布や防災計画、避難計画等の対策を遺漏なく進めるとともに、原発災害にどう備えるか、府がパンフレット等を作成して、府民への啓発を図る
(3)国と電力事業者に対して、原発の廃炉へと舵を切るよう求める
(4)京都議定書を策定した京都らしく、持続可能な再生可能エネルギーを府域の技術力等を活用し飛躍的に広げる
(5)再生可能エネルギーを活用した住宅建設や断熱工事等を支援し、ビジネスチャンスと職を増やし、エコ型循環経済により地域経済の活性化を図る
(6)京都府が平和のリーダーシップをとり、(東アジア)諸国の若者の交流事業を支援する
(7)京丹後の米軍基地問題については、地元住民の安心安全を守る取り組みを強める
(8)未来を展望し、多様な個性を尊重しあう共生社会を実現するために、LGBT問題に取り組み、パートナーシップ条例の制定を目指す

4ひとをつなぐ~自治と自律を土台にしたボトムアップによる施策
(1) 国とのパイプは重視しつつも、自治の精神を貫く
(2)住民からの意見に謙虚に耳を傾けるとともに、現場の職員の声をよく聞き、庁内の風通しを良くする。そのことを通じて現場力を高める
(3)府内の市町村の声をよく聞き、丁寧な協議を通じて頑張る市町村を応援する
(4)地域の自治組織を大切にする
(5)府内の大学、研究機関、民間企業等との連携を強め、地元貢献を促進する