08年ノーベル物理学賞を受賞した京都大学の益川敏英名誉教授と同大学の尾池和夫前総長による「ビッグ対談 京都大学と学問・社会 人類の未来」が19日、京都市左京区の京都大学百周年記念館時計台大ホールで開催されました。主催は京都大学職員組合OB会。
 両氏は科学者が社会で果たす役割や平和運動について語り、益川氏は5歳の時、太平洋戦争で被災した体験を語りながら、「こんな経験は、子や孫に絶対させたくない。恩師であった坂田昌一・元名古屋大学教授が、平和運動について熱心に取り組んでいるのをそばで見てきた。ぼくらが、戦争体験を語れる最後の世代であり、『戦争はいや』と言い続けていきたい」とのべました。
 尾池氏も、「ぼくも戦争は生理的にいや。益川さんが、憲法を守る『九条の会』に入られたことは偉いと思う。九条は守らなあかん、戦争はいやと遠慮なく言うことが大事だ。60年代の安保反対のデモに、学生として毎日参加した体験は貴重だった。今の若い人たちに、直感したことを行動に移すことは大事だと言いたい」と話しました。
 また、現在の大学の状況について、益川氏は、「62年に大学院に入学した時には、親の職業はバラエティに富んでいた。研究がおもしろいと思ったら、その道に進めるのびのびとした状況があった。現在は、親の学歴が子どもにも連動した階層社会になっている。勉強したい人が進学できるような、奨学金制度の充実が必要だ」と述べました。
 尾池氏は、「自分の専門だけでなく、色んな学問に幅広くふれてほしい」と大学生へアドバイスを送りました。