日本共産党京都府議団の光永敦彦幹事長が18日京都市内で開かれた府政要求懇談会で、現府政の問題点や、府民の要求運動、府政転換への展望などについて報告しました。大要を紹介します。

府政要求懇談会で報告する光永府議団幹事長

消費税・原発・北陸新幹線…府民要求に背を向け

アリーナには348億円、府立大老朽校舎は放置/「文民統制」逸脱事態にも国にもの言えない姿勢

 今、政府は、団塊ジュニア世代が65歳以上となる「2040年問題」を強調しています。京都市の人口予測では、現在の約145万人から、40年には134万人と10万人減と推定されています。24年の京都府の出生数は1万2923人で、出生率は全国で5番目に低い数字(1・05)です。

府民生活の現状反省・総括なし

 経済では、昨年の倒産件数が12年ぶりに350件を超えました。非常に厳しい状況です。最低賃金は時給1122円とする答申が出ましたが、京都総評の最低生計費調査では「時給1900円」が必要で、まだまだ賃上げと中小企業支援が求められています。

 この現状に対し、西脇府政は、反省も総括もないまま、「国との一体型政治」を進めており、「行き詰まった自民党政治の京都における実施機関」となっているのが実態です。

 私たちは、①府民に自立・自助を求め、開発や規制緩和、広域化と官民連携のいっそうの推進②軍拡、基地強化、日米一体化が具体的に住民を無視して進められる③消費税、原発、北陸新幹線をはじめ、国政や府民にとって重要な問題について、府民の声を抑え込む役割④だからこそ、実態や要求の可視化と運動、立場の違いを超えた共同と自治の力で京都から反撃、そして転換の流れを─を方針として掲げています。

子育て支援は「風土」どまり

 西脇府政の看板政策である「子育て環境日本一」の本当の姿は、「泣いてもかましまへん」ステッカーの配布など、子育ての「風土づくり」にとどまっています。驚くべき事態です。

 出生率は全国ワースト5位で、府外への人口流出も起こっています。府内全自治体で全員制中学校給食が実施予定ですが、府の支援策はありません。子どもの医療費助成制度は、府民の粘り強い運動と府知事選のたたかいなどで23年9月から中学校卒業まで(通院)拡充されましたが、京都市と府以外の自治体では何らか18歳まで実質無料に拡充されています。

「病床削減」も率先して

 国の社会保障費抑制政策で、4兆円の医療費と11万床の削減が狙われています。府の病床削減は291床の計画で、府立医科大や京大病院など公立病院が率先して病床削減に応じている状況です。

 議会の答弁でも、消費税減税を求める府民の声に対して、「国において検討されるべき」と述べるだけ。多くの府民が反対する北陸新幹線延伸計画で、自民党からも批判が出されているのに、知事は「日本海国土軸の一部を形成し…中略…関西全体の発展につながる国家プロジェクト」との答弁を何十回も繰り返しています。このように府民の要求を押さえ付ける役割が明確になっています。

 原発問題、祝園分屯地でのミサイル弾薬庫の建設、核兵器禁止条約なども、国に言いなりで府民要求に応じない姿勢です。

「先端産業支援」には力入れるが

 一方で、先端産業支援の重点化や開発型産業政策には力を入れています。知事は「(評価額1400億円以上の)ユニコーン企業が1社誕生した」などと強調します。これが京都の産業政策の中心なのでしょうか。京都経済の中心を担い、雇用を支える中小企業への直接支援を願う声に背を向け、先端産業支援が続けられています。

 大阪・関西万博への府の予算は総額で22億4000万円にのぼります。この予算とは別に、『京都民報』でも報道されましたが、京都と万博会場をつなぐ舟運事業に府の予算(8億7000万円)を含め総額190億円が注ぎ込まれましたが、京都から5時間かけて万博へ船で行くことは実現しませんでした。

 大型アリーナ建設計画では、府立大学の敷地内で建設計画が浮上した時の見積もりは155億円。それが向日市の向日町競輪場での計画になると348億円へと大きく増えました。住民が交通渋滞などの道路整備の不安の声を上げても、まともな説明もなく計画を進めようとしています。

 府立大学の校舎の老朽化問題でも体育館だけ検討予算が計上されましたが、大学全体の老朽校舎は放置。耐震化率は51%にとどまり、学生の命が脅かされています。府立医科大の整備にも800億円かかるとされていますが、「まずは経営再建」だとして、先送りされています。こうした老朽化した公共施設の整備が必要ですが、どんどん先送りしている状況です。莫大な建設費(総額5兆3000億円)の北陸新幹線延伸計画の負担が必要になれば、府の財政はとんでもない事態になります。

日米軍事一本化と拠点化が進む

 府内で、日米軍事一体化と拠点化が進められています。舞鶴市の自衛隊基地では、イージス艦にトマホーク搭載機能を付加し、新設の弾薬庫の整備が狙われています。陸上自衛隊祝園分屯地では、弾薬庫14棟の大増設のため、8月から8棟の建設が強行されています。こうした京都府分の26年度の軍事費は概算要求で579億円にのぼります。

 7月には事前連絡無しでの日米合同訓練が京丹後市の米軍基地で行われました。シビリアンコントロールを踏みにじるものですが、府はあくまで「連絡ミス」との防衛省の説明にただ同意するだけです。府民の安心・安全が脅かされているにもかかわらず、国にものが言えない姿勢は許されません。

 北陸新幹線延伸反対やミサイル弾薬庫建設反対の運動が広がるなど、各地で要求運動が起こっています。来春の知事選挙では、立場の違いを超えた共同が必要です。極右・排外主義を許さないたたかいも求められています。日本共産党としても府知事選勝利へ全力で頑張ります。

西脇知事の主な議会答弁

【消費税減税】

 「全世代型社会保障に必要なものとして法律で税率の引き上げが行われたものであり、少子高齢化社会における我が国全体の社会保障財源の問題として国において検討されるべき」

【北陸新幹線京都延伸計画】

 「日本海国土軸の一部を形成いたしますとともに、大規模災害時において東海道新幹線の代替機能を果たし、京都府域はもとより関西全体の発展につながる国家プロジェクト」

【原発】

 「エネルギーの問題は国全体で考えるべきものであり、国の第7次エネルギー基本計画においても原子力を最大限活用していくことが重要とされていることから、使用済み核燃料対策につきましても、国が責任を持って対応すべき」

 「令和7年2月13日に関西電力が公表した使用済み燃料対策ロードマップによりますと、再処理工場への搬出などにより高浜原子力発電所の使用済み燃料貯蔵量は将来的には減少する見通し」

【祝園弾薬庫建設強行】

 「国家安全保障会議での議論等を踏まえ、令和4年12月に国家安全保障戦略国家防衛戦略、防衛力整備計画の3文書を閣議決定し、防衛力の抜本的強化として反撃能力の保有や火薬庫の増設、米国製のトマホークの導入などに取り組まれているもの」

【被爆・戦後80年、核兵器禁止条約に日本政府が参加するための署名】

 「当該条約に関しましては、安全保障や外交上の問題であり政府や国会におきまして適切に判断されるもの」

 「国におきましては、核兵器国と非核兵器国との間の協力による現実的かつ実践的な措置を積み重ね、核兵器の廃絶に結びつく実行ある取り組みを進めていただきたい」

 「私どもから参加を求める署名を行う考えはございません」