OTC類似薬の保険外し撤回を 府保険医協会会員7割が反対/アンケート結果発表 「社会保障の基盤を根底から覆す」

市販薬副作用・重症化での受信 4割が経験
政府が市販薬と同じ成分や効能を持つ「OTC類似薬」の保険適用からの除外を検討している問題を巡り、京都府保険医協会が会員にアンケートを行ったところ、「反対」の回答が7割近くにのぼりました。同協会は7月31日、結果を発表し、保険外し撤回を訴えました。
OTC類似薬は医師が処方する薬のうち、薬局やドラッグストアなどで購入できる市販薬と同じ成分や効能を持つ薬です。OTC類似薬が、保険適用で自己負担が少なく済むのに比べ、市販薬は全額自己負担となります。そのため、同じ成分の薬でも価格は大きく異なり、10倍、中には40倍にもなる場合もあります。
政府は、自民、公明、維新の3党合意を受け、保険料の負担軽減策としてOTC類似薬を保険適用から見直すことを検討しています。
これについて、開業医など約2200人でつくる府保険医協会は、会員1505人を対象にアンケートをおこない、198人から回答を得ました。その結果、OTC類似薬を保険の適用から外すことについて「反対」と答えたのは68%に達しました。
その理由として、「患者負担の増加」「本人の判断による服用や使用は間違った病名であった場合、治療を遅らせることにもつながる」「病状悪化や副作用の懸念、オーバードーズ(薬の過剰摂取)の心配」などの意見が並びました。
また、市販薬の服用・使用で、副作用・重症化し来院した患者がいるかの問いに、「いる」との回答は40%に上りました。副作用や重症化の事例として、「総合感冒薬による排尿障害」「ロキソニンによる消化管穿孔(消化管に穴が開く)」「風邪薬を飲んでいて、来院して調べたら肺炎だった」「胃炎と思い薬局で胃薬を購入して内服していたが、来院したら心筋梗塞だった」などが寄せられました。
同協会の福山正紀副理事長は「保険外しは受診抑制となり、症状悪化につながりかねず、『皆保険でよりよい医療を提供する』という社会保障の基盤が根底から覆されることになる。撤回を求めたい」と訴えました。