日本共産党京都市議団は3月26日、世界遺産に登録されている市内14の「古都京都の文化財」を守るための条例制定を目指し、シンポジウムを京都市内で開催しました。同議員団は2月に「世界文化遺産保護条例(仮称)」の骨子案を発表しており、専門家や住民運動に携わる市民をパネラーに、世界遺産を巡る現状や課題、骨子案について議論しました。

 オンラインで参加した日本共産党の倉林明子、井上哲士の両参院議員があいさつ。井上氏は「議員団が条例提案をしたことは意義あること。条例成立へ力を合わせたい」と述べました。

 中林浩・神戸松蔭女子学院大学元教授が基調講演。中林氏は、京都での世界遺産の状況について、市が土地利用の規制緩和や高級ホテルの誘致を行うことで、世界遺産の周辺一帯でホテル・マンション問題が頻発していると指摘。市民にとって住みよい住環境を守るには、世界遺産の保全は欠かせないと強調し、「保全のために市民と議会の関与を強めることが重要」と述べました。

 同議員団の冨樫豊議員が制定を目指す条例案の目的や骨子案の内容を報告しました。「京都の景観が危機に直面している下、条例提案を行った」と述べ、▽市がより強い世界遺産保護の意思表示を行う▽議会の関与、審議会の設置、市民参加の仕組みを制度的に保障する――ことで、世界遺産の保護をより確かなものにしていきたいと説明。9月議会に条例案を提案する予定で、4月28日まで市民意見募集をしており、ぜひ意見を寄せてほしいと呼びかけました。

世界遺産周辺での開発に歯止めなくなっている

 世界遺産のバッファゾーン(緩衝地帯)での開発計画を巡り、住民が発言。仁和寺(右京区)の門前でのホテル計画中止を求めて裁判闘争中の桐田勝子さん、下鴨神社(左京区)の境内・「糺(ただす)の森」でのマンション建設に反対し、約3年間、住民運動に取り組んだ人見明さんは、それぞれ世界遺産一帯の開発に歯止めがなくなっていると危機感を訴えました。

 「京都・まちづくり市民会議」事務局代表で弁護士の中島晃さんは、住民運動が世界遺産を守る力となっていると強調。「市民が保全の担い手であることを条例に位置づけてほしい」と訴えました。

 骨子案への意見投稿フォームhttps://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScYxlWdr_rYDVdYCIg57TRpWPTgB8bvP4UoR4JVN_r3VolCzw/viewform