講演する山本教授

 宇治市が西小倉地域の小中4校を統廃合して施設一体型小中一貫校(2026年開校予定)の新設工事を進めるなか、同地域の保護者らでつくる、「西小倉地域小中一貫校の課題を考える保護者の会」は11月4日、現状の課題を共有し、これからのまちづくりを考ようと学校統廃合問題に詳しい、和光大学の山本由美教授を招いた講演会を同地域で開きました。

中学校グラウンドに新校舎、開校後にグラウンド整備工事

 同一貫校は、西小倉、北小倉、南小倉の小学校3校と西小倉中学校を統合。中学校のグラウンドに新校舎を建てる工事が2月から行われ、中学生の授業や部活動に支障が生じています。26年4月の開校後も、中学校旧校舎の解体→グラウンド整備に1年半かかる見込みで、結局27年10月までは、グラウンドが使用できない状態が続くことになり、教育環境への影響を心配する声が保護者から出されています。
 さらに、開校後、これまで自校調理だった小学生の給食がセンターからの配送に変わることや小学校の跡地利用など、住民の懸念や疑問が残されたまま工事が進行しています。

 企画は、子どもたちの学ぶ環境について知らせ、より多くの人に関心を持ってほしいと開催したものです。講師の山本教授は、政府の学校統廃合政策の変遷と廃合を後押しする公共施設削減にむけた財政誘導政策などを紹介した上で、宇治市の統廃合計画の特徴、子どもにとってリスクがある統廃合の問題を指摘しました。

 当地の小中一貫校計画については、経過や議事録の分析から、「文科省も合意形成の手続きが大事だと強調するが、合意形成ができているか疑問を感じた」と述べました。
 また、着手された工事に関してグラウンドが使用できない期間が続くこと、そもそもグラウンドが狭いことをあげ、教育条件の悪化を指摘。「環境が整ってから(一貫校に)子どもを通わす方が良い」と述べ、保護者の意見を聞いて、環境が整うまで開校時期を遅らせた他県の例を紹介しました。

 参加者からは、「南小倉小のグラウンドを売って住宅地にするのは許せない」「中学生の声を聞いて、少しでも教育条件を改善させたい」「いまのやり方は子どもへの虐待ではないかと思う。グラウンドができるまでは小学校を統合しないで」などの意見や感想がありました。

グラウンドに新校舎を建てる工事が進んでいる西小倉中学校。グラウンドが使用できないため、授業や部活動に支障が出ています