マイナンバーの「フル活用」などを明記した、2022年参院選の公約「維新八策2022」

 来秋に健康保険証を廃止してマイナ保険証に一本化する政府方針について、直近のNHKの世論調査(7月7~9日に実施)では、「延期」と「撤回」が合わせて71%に上る事態となっています。この間、一本化のためのマイナンバー法改定などをめぐり、野党が見直しを要求するという構図で報道されていますが、維新、国民の両党は自民、公明とともに推進の立場です。維新が国会で、実際にどういう主張を行ってきたかを検証します。

 「マイナンバー政策に対して国民の理解が得られるのか、非常に危惧をしている」。マイナ保険証をめぐって別人の保険情報のひも付けなどのトラブルが続出していることなどを受け、5日に開かれた衆院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成特別委員会の閉会中審査。維新の住吉寛紀議員(兵庫11区)は、一本化へ向けた妨げになることに懸念を表明しました。

 「マイナンバーのフル活用の推進」を掲げる同党の立場を示し、「また何かミスがあれば、それは大きなマイナンバー政策またマイナンバーカードに対する国民の信頼の失墜につながる」と危機感をあらわにし、総点検の徹底を要求しました。

閉会中審査で“一本化のメリット示せ”と要求

 同審査ではさらに、維新の堀場幸子衆院議員(比例近畿、日本維新の会京都府総支部代表)は、別人の情報ひも付けは人的ミスであるなど、この間のマイナンバーをめぐる問題の多くはヒューマンエラーであるとし、「運営の体制のあり方の課題だ」と主張。さらに、同姓同名へのマイナンバーカード交付というトラブルは、顔認証や指紋認証などさらなるデジタル化の推進で予防できると述べ、さらなる行政のデジタル化の推進を訴えました。

 また、高齢者のスマホ利用を例に「便利だねと分かったら怖くないんですよね」などと語り、政府に一本化のメリットを示すよう要求。これを受け、加藤勝信厚労大臣は、「スマホのお話がありましたけれども、そうした方が、なるほど、使い勝手がいいと実感をしていただける、そういった状況に一日も早くなるよう努力をしたい」と応じました。

国民の不安・懸念に向き合わず

 両氏とも、相次ぐトラブルへの国民の不安に向き合って問題点の究明と保険証廃止方針そのものの検証を要求するのではなく、一本化の推進に向けた「障害」への対応を求めたに過ぎません。

 そもそも維新にとって、「マイナンバーフル活用」は同党政策提言「維新八策2022」に明記しているもの。その中で行政改革のトップに、マイナンバー法改定によるフル活用として、すべての銀行口座や戸籍から不動産登記、外国人在留管理までをマイナンバーとひも付けすることを掲げています。

そして、別の項目で「マイナ保険証の利用を促進」も明記しています。

 この立場のもと維新は、一本化のためのマイナンバー法改定への賛成討論(6月2日、参院本会義)で猪瀬直樹参院議員が、法改定はマイナンバーカード普及率100%に向けた「重要な一歩だと考えている」と評価。

 その上で、保険証廃止に伴う資格確認書の発行という代替措置をめぐり、「(将来的に)一本化を図っていくよう求める」と要求。一本化をめぐる不安に対し「国民皆保険の制度自体が揺るがされるかのような誤解」だなどと主張しました。

 同党の足立康史衆院議員は4月25日、特別委員会での法改定の審査で、マイナンバーを「より迅速に、より有効に、より合理的に」使うための競争を、「自民党と、政府・与党と日本維新の会でやっていきたい」と明言しています。

 こうした維新の姿勢は、「改革」とは名ばかりに、自公両党と一体に保険証廃止、マイナンバー活用を推し進めるものです。