劇団CanVasの団員

 コロナ禍のトンネルをくぐり抜けてきた学生と社会人によるミュージカル劇団CanVas(団長・立瀬)が2月25日、京都市下京青少年活動センター(京都市下京区)で、LGBTQの問題を織り込んだ団員の書き下ろし、演出による意欲作を上演しました。

 作品は、青年の劇団が幼稚園で「シンデレラ」公演をする設定。男性演出家が、女性団員の服や化粧品の購入に付き添い、化粧品などに熱いまなざしを向けます。なぜなら、彼は、内面女性のトランスジェンダーだから。

 一方で〝女性らしく〟演技できないシンデレラ役は、日により性別が変わるXジェンダー。公演に向けて団員は各人の個性を理解していきます。

踊りながら寄り添う妖精を演出家の内面の写し鏡のように登場させ、望む性への憧れや葛藤を、芸術的に表演。団員の自然な演技と歌、息の合ったアンサンブルで観客を魅了しました。

 団員の多くが所属していた大学のミュージカルサークルが、コロナ禍で活動中止に追い込まれたため、有志で2021年4月、劇団を結成。公演中止なども経験し、無観客ネット配信、小規模な舞台を重ねてきました。大学を卒業する団員もいることから、いったん活動休止を決め、今回〝最後の公演〟に臨みました。

 脚本・演出は、プロの大手ミュージカル劇団への就職が決まっている、やまなかはる。これまで脚本を書いた2公演が中止となり、自作の上演は初。憧れのパフォーマーがLGBTQをYouTubeでカミングアウトしたことに触発され書き上げた作品で、記念の舞台を飾りました。

 出演は、青空、水宮凛、立瀬、恋本麻由、佐々木藍、やまなかはる。スタッフは、出演メンバーと三原明大、暁月葵(あかつきまもる)。

 公演の動画を4月30日まで、YouTubeで配信中(URL=https://youtu.be/nq8xGwgHcAE