6月末の休業と従業員の解雇が通知された京都平安ホテル(京都市上京区)
「雇用の創出」などを訴えていた西脇氏の知事選公約

従業員が労組結成「知事は公約守り、解雇撤回を」

 西脇隆俊府知事が支部長を務める地方職員共済組合府支部が運営する、「平安会館(御所西京都平安ホテル)」(京都市上京区)が6月末で休業する方針を示し、このほど労働者(正職員20人、臨時職員約30人)に解雇を通告しました。労働者らは労働組合を結成して、解雇の撤回を要求。「突然解雇を通告された。経営努力すればホテルは続けられるはず」「知事選で知事は『雇用を守る』と言っていた。公約を守ってほしい」と訴えています。

 同ホテルは、府支部が1980年、府職員の福利厚生とともに一般利用できる施設として京都御苑の西側に設置。敷地内にある日本庭園は、江戸時代からあったと推定され、1922(大正11年)年に小川治兵衛が大改造し、米国の日本庭園専門誌の上位に入るなど、高い評価を受けています。

ホテル敷地内にある日本庭園

 また同ホテルは、新型コロナウイルス感染拡大の中、20年4月から1年間、感染者の宿泊療養施設として使用されました。

 労働者によると、4月26日、同ホテル内で正職員を対象とした説明会が開かれ、経営難などを理由に、6月末での休業と職員の順次解雇を通知しました。

 職員らは京都こうむ公共一般労働組合に加入し、同「京都平安ホテル分会」を結成。今月17日に団体交渉し、ホテル休業の撤回や雇用維持、詳細な説明などを求めました。府支部側は、経営難であることを繰り返し述べるだけで、今後も交渉を続ける予定です。

 同ホテルで30年以上働く男性(50代)は、ホテルの経営状態について、「コロナの影響で厳しいけれど、5月の連休などは回復傾向にあった。突然の解雇通知は納得いかない」と話します。また、知事選で西脇知事が雇用の確保や創出を公約で掲げたことについて、「支部長である知事の名前で解雇通告された。知事は公約で述べたように、私たちの雇用を守るためにもっと努力してほしい」と訴えます。

 また30年以上働く男性(40代)は、コロナの療養施設となった時について「最も大変な時に療養施設となって、職員も不安を抱えながら働きました。これからホテルとして努力していく時期に閉鎖するのは納得できない。もっと経営努力をしてほしい」と語ります。

知事が会見「最終決定でない」

 団体交渉翌日の18日には労組が会見を行い、マスコミ各社がいっせいに報道。西脇知事は20日の会見で、同ホテルの解雇問題について「解雇の話は若干、先走っている。最終決定ではない」としましたが、解雇撤回については否定しています。

 京都こうむ公共一般労働組合の新田昌之事務局長は、「府に対し、労働組合と連帯して抗議ファクス行動などに取り組んでいます。メディアでホテルの休業が報道されてから、『ホテルを残してほしい』『最後に宿泊したい』と大きな反応が寄せられています。雇用とホテルを守るため、世論を広げていきたい」としています。

 京都府職員労働組合(木守保之執行委員長)は18日、知事に対し、同ホテルの解雇問題などについて申し入れを行い、解雇撤回と経営存続への努力を行うことなどを求めました。

 木守委員長は、「職員をはじめ府民の宿泊や会議、結婚式、懇親会での利用など福利厚生に大きな役割を果たしてきました。説明もなく、休業・閉鎖方針を打ち出したことは許されません。従業員の解雇を撤回し、運営の安定化や改善に向けて努力すべきです」としています。

京都総評の梶川憲議長(中央)など労働組合に支援を要請する従業員ら(手前の2人)