高校前宣伝で「公費で購入」にシールを張る親子(11月13日、京都市中京区)

 府立高校で来年(2022年)度から、生徒1人1台のタブレット端末(約7万円)の自費購入が求められる問題で、「子どもと教育・文化を守る京都府民会議」が、私費ではなく「公費」での導入を求める署名・請願を府議会11月定例会(11月30日開会)に提出します。日本共産党京都府委員会は、この運動に連帯し、併せて保護者や高校生の意見を届けようとアンケートの協力を呼びかけています。

 府立高校で導入するタブレット端末の購入費用は、本体とケースカバー、タッチペン、故障補償など合わせて約7万円。保護者にとっては、新たに高額な負担が強いられます。

18府県が公費負担

 国の「GIGAスクール構想」の具体化として、学校で1人1台のタブレット導入が急速に進められ、小中学校では今年度、貸与として、全国の9割以上で配備されています。公立高校での導入にあたっては、都道府県によって負担のあり方が異なっています。文部科学省の端末整備調査(8月現在)では、京都府のような保護者負担を原則とするのは21都道府県で、公費負担も18府県あります(下表参照)。

 日本共産党京都府委員会は、高等教育の無償化をめざす立場から、タブレット端末の自費購入問題を考える「タブレット問題チーム」を立ち上げ、教育費の負担やタブレット導入問題などについてのアンケート調査を実施。アンケートは、31人の回答(5日現在)があり、約7万円の負担を「重い」と感じる人は90.3%にのぼります。費用負担は本来どこが担うべきかの質問に、国=77.4%、保護者・本人=12.9%、学校・府=9.7%と回答。国、府、学校を合わせて、公費で負担するのが望ましいと考える人は、87.1%となっています。

 自由記入欄では、「入学時に7万円の負担増は、ほとんどの家庭で苦しいと思う」(保護者)、「個人負担となると、買える人と買えない人が出てきて、学業の格差がさらに増える」(高校生)、「公費購入が最も公正」(同)などの声が寄せられています。

 同党府委員会タブレット問題チームは13日、受験生対象の学校説明会が行われた高校(京都市中京区)前で署名とアンケートを呼びかける宣伝を行いました。説明会に参加した保護者からは負担軽減や公費負担を求める声が相次いで出されました。

保護者「貸し出し制度もないなんて」

 説明会で、「義務教育ではないので支給はしない」と言われたという母親は、ほとんどの子どもが義務教育並みに高校に進学し、コロナ禍で収入の減った家庭もあることから、貸し出しの手立てもない対応について、母親友達と話題になっていると言います。「7万円の支出は大きいですよ。政府の給付金をあてにするにも5万円に減額されたら足りませんよね」と話していました。

 高校生からは、「授業はプロジェクターの活用でも十分。個別タブレットは個人情報の流出が心配」「スマホを使って、QRコードで問題を読み取るテスト問題がある。スマホでも対応できるのでは」など、タブレットの一律の導入を疑問視する意見も寄せられました。

 教育府民会議の請願署名は12月6日に府議会に提出する予定です。締め切りは11月末。オンライン署名もあります。共産党のアンケートは、今後、集約してホームページで紹介予定。寄せられた声、意見などは、府への申し入れ、府議会の質疑で紹介するなどして、反映させることにしています。