野党の協力を広げて総選挙で勝利し、新しい政治を実現しようと共通政策に合意した市民連合と野党各党党首(9月8日、参院議員会館)=「しんぶん赤旗」提供

 市民と野党の共闘で政権交代を目指す歴史的総選挙が目前です。4野党と「市民連合」が共通政策で合意(8日)し、新しい政治への「旗印」が示されたもとで、どう選挙戦をたたかうのか―「本気の共闘」への課題や京都での選挙協力の現状などについて、日本共産党京都府委員会の渡辺和俊委員長に聞きました。

渡辺和俊委員長

野党連合政権で暮らしはよくなる

 ─「市民連合」の呼びかけで4野党の共通政策が合意されましたね

  共通政策は、6つの柱・20項目から成っています。「安保法制や秘密保護法、共謀罪など違憲立法廃止」「消費税減税」「核兵器禁止条約批准」「沖縄の辺野古新基地建設中止」「原発のない脱炭素社会」「選択的夫婦別姓制度」「森友・加計・桜疑惑徹底究明」「日本学術会議会員の推薦通りの任命」など、「野党連合政権をつくれば、暮らしはよくなる。政治は変わる」と訴えることができます。ワクワクしますね。

 同時に、自民党は「いよいよ共産党が政権取りに乗り出す。なんとしても阻止しなければ」(京都6区候補)と危機感をあらわにしています。激しい選挙になるでしょう。

 ─こうしたもとで、野党共闘は今後どう進みますか

「実行する政権目指す」と合意

 政策の面で「与党+補完勢力」VS「市民+野党」の二極対決の構図が鮮明になりました。同時に今回、この政策を「実行する政権の実現をめざす」と4党が合意したことは、この間の国政選挙にはなかった画期的な前進です。志位和夫委員長は、「政党間の協議を速やかに行い、政権協力、選挙協力について前向きの合意をつくりあげ、本気の共闘の体制をつくるために力をつくす」と表明しました。

「選挙協力」と「政権協力」

  ─野党の“本気度”が伝わるには、「選挙協力」と「政権協力」が欠かせませんね

 その通りです。465の衆院定数のうち289は小選挙区選出です。前回2017年総選挙で自民党は、33%の得票率(比例)なのに、281議席、つまり60%の議席を占有した。まさに、“小選挙区マジック”です。

 逆に言えば、一定の規模の選挙区で野党が小選挙区候補を一本化すれば、自・公に打ち勝ち、野党が過半数を獲得する可能性が出てきます。この「選挙協力」には、政党間協議が必要です。

 「政権協力」については「閣内協力」だけではなく、「閣外協力」もありえます。志位委員長は、「協力の形態は協議のなかで一致点を大切にして決めていけばよい」(第3回中央委員会総会)と明確に述べています。政権協力の姿をあらかじめ示してこそ、有権者は安心して野党に投票することができます。

京都でも政党間協議を

  ─京都の選挙協力はどうなるでしょうか

 京都府委員会は、昨年6月18日に、現職の1区・穀田恵二衆院議員に加えて、2区・地坂拓晃、4区・吉田幸一、5区・山内健の4人の候補者を決め、「3区・6区は検討中」と発表しました。

 その際、「他の野党のみなさんに、1区では穀田議員を野党統一候補とすることを強く求める」とともに、「1区をはじめ野党間の選挙協力は、それぞれの党の本部間の協議と合意が必要である。同時に、京都段階でも話し合いを進めるべく、協議開始を呼びかける」と表明しました。

 その後、学術会議会員任命拒否など強権を振るう菅内閣のもとで、多くの府民から「京都でも野党共闘を」の声が上がり、私たちは、11月4日、立憲民主党京都府連に、政党間協議を申し入れました。

 これに対して、同党が「現時点では申し入れに応じることには至らない」(泉健太府連会長)と述べ、今日に至っています。

 しかし、4野党の政策合意という新しい局面のもとで、市民連合「ユナイトきょうと」からも「次期衆議院選挙における立憲野党の選挙協力の要請」(7日)も届いており、京都でも政党間協議を開始できるよう、いっそう努力します。

共闘への本気度の証

 ─3区や6区では、「小選挙区候補がいないとたたかいにくい」との意見もあります

 京都では必ず全小選挙区で候補者を立ててきたので、その気持ちはよくわかります。

 「3・6区は検討中」という発信は、「1区・穀田氏を野党統一候補に」という主張と合わせて、「市民と野党の共闘」に対する日本共産党の熱意と真剣さ、本気度の証であり、政権交代・野党連合政権実現の大義に立つ提起です。

 単独政権ではなく、統一戦線の力で議会の多数を獲得して連合政権を目指す。これが、わが党綱領の一貫した方針です。共産党が一翼を担う野党共闘が現実課題となった今、「京都だけは例外」というわけにはいきません。

「比例は共産党」が主舞台

 ─そうすると、比例代表選挙がますます重要になってきますね

 小選挙区候補のあるなしにかかわらず、比例代表選挙こそ共産党議席を伸ばす主舞台です。有権者のみなさんには「あなたには2票ある」「比例は日本共産党へ」と強く呼びかけたいです。

 衆院定数465のうち、比例選出は176です。2014年総選挙の共産党獲得議席21のうち20議席が比例選出。2017年は12議席のうち11議席が比例選出でした(小選挙区での当選はいずれも沖縄1区・赤嶺政賢さんのみ)。

 11ブロックに分けて「ドント方式」で各党に議席配分する仕組みですので、多少誤差は出ますが、全国どこでも「共産党」と書いてもらえば、ほぼ得票率に比例して議席に実ります。

全国の比例得票目標は「850万票、15%以上」(京都は「30万票、25%以上)です。直近の2019年参院選比例得票率でシミュレーションすれば、850万票獲得で、わが党は比例で35議席以上獲得でき、立憲民主党に次ぐ第3党になります。そうなれば、国会はもっと面白くなり、野党共闘は格段に進みます。

 この間、京都民報に登場された保守の方々、以前は自民党を支持していた方や、他の野党の支持者も含め、「比例は共産党」と訴えておられます。それは何よりも、野党の中に分断と逆流が持ち込まれた2017年総選挙で共闘を守った共産党、府知事選をはじめ、京都の首長選で「市民と野党の共闘」を貫いてきたわが党への深い信頼が、府民の中に広がっている証拠です。比例躍進のチャンスです。

1区穀田勝利必ず

 ─比例躍進とともに、今度は、小選挙区の1区で穀田さんを勝たせたいですね

 市民連合の山口二郎法政大学教授は「誰もが認める事実上の野党統一候補」と、「1区穀田必勝」を訴えてくれました(8・28京都オンライン演説会)。この間の野党の国会共闘はもとより、全国の選挙共闘の前進に、穀田さんは重要な役割を果たしてきました。全府の力で「比例30万、25%以上」の大波を起こし、京都1区で「比例6万票」を実現すれば、穀田さんを勝利させることができます。今度こそ小選挙区での穀田勝利へ、力を尽くします。