京都市の消防指令センター(京都市消防局ホームページより)

 京都府は6月29日、京都市消防局と府南部の8消防組合・本部の消防指令センターを共同運用する計画案を示しました。119番通報などを受ける指令センターの共同運用を足がかりに、消防組織を府内で一元化することを狙っています。消防の広域化によって人員削減や地域の消防体制の弱体化などに懸念の声が上がっており、日本共産党府議団は広域化に反対する論戦をしています。

 府が同日、府議会危機管理・建設交通部常任委員会で示した、「京都府消防体制の整備推進計画改訂版(案)」では、2025年度までに京都市と南部8消防本部(乙訓消防組合、宇治市、城陽市、久御山町、八幡市、京田辺市、精華町、相楽中部消防組合)で共同運用の実施時期を取りまとめ、早期に共同運用を目指すとしています。そして、30年度までに府内全消防指令センターの一体的な共同運用をめざし、「将来的に府内全体を一つの消防組織とする構想を検討する」としています。

 亀岡以北の6消防本部(京都中部広域消防組合、福知山市、舞鶴市、綾部市、京丹後市、宮津与謝消防組合)では、消防指令センターを、福知山市消防本部内に新たに設置して共同運用する方針を打ち出し、20年11月に府中・北部地域消防指令事務協議会を設立。24年度までに消防指令センターの共同運用開始へ調整するとしています。

 消防の広域化をめぐっては、政府が管理運営や行財政上のメリットがあるなどとし、06年以降、都道府県に対して消防広域化基本方針を策定するよう推進してきました。しかし、広域化が進まず、管轄人口10万人未満の消防本部が全体の6割を占めることなどから、国の基本方針が改正され、広域化の期限は24年4月までとし、推進計画を再策定するよう定められています。

共産党「広域化で課題解決しない」

 京都府議会で同計画が示された危機管理・建設交通部常任委員会では、日本共産党の水谷修、浜田良之の両議員が質問。水谷議員の質疑の中で、京都市と府南部の指令センターの共同運用は27年度から開始することが明らかにされ、水谷議員は「十分な情報を明らかにすべき。消防活動の根幹をなす指令センターの統合はすべきではない」と迫りました。

 浜田議員は、消防の実情は、職員の増員や消防水利の整備、地域の消防力強化が不可欠だとし、「消防体制の強化の話ではなく、広域化ありきで進めてもものごとは解決しない。しっかりと議論すべき」と述べました。