国際社会の動きを知る手がかりになればと話す明智さん

 「3・11」福島第一原発事故で、国・東電を相手に損害賠償を求めた「原発賠償京都訴訟」の原告団が先月、冊子「国際社会から見た福島第一原発事故」(A5判、70㌻、耕文社)を出版しました。福島原発事故被害者保護のため、国際社会が動いていることや一方でその動きを無視する日本政府の現状を分かりやすくまとめました。原告団は「国際社会の大きなうねりとともに日本政府の実態を多くの人に、そして司法に知ってもらいたい」と訴えます。

 冊子は、国連人権理事会が2018年に採択した日本への勧告を中心に紹介しています。それは避難者支援の継続などを求めた4カ国(ドイツ、ポルトガル、オーストリア、メキシコ)の勧告です。日本政府はこれに「同意する」としながら、実際には被害者の人権侵害を続けてきた実態を浮き彫りにしています。

 例えば、ドイツは「(日本政府が福島第一原発事故では年間20ミリシーベルトとしている)許容放射線量を1ミリシーベルト以下に戻し、避難者及び住民への支援の継続(略)」を勧告しました。ところが、日本政府は、許容放射線量を元に戻さず、支援策も打ち切ったことを挙げ、「同意は見せかけ」と告発しています。

 また、同理事会以外にも、社会権規約委員会、自由権規約委員会、女性差別撤廃委員会、子どもの権利委員会と計4つの人権条約機関が日本政府に勧告を出したことやその厳しい内容を記載。「いくつもの機関から勧告を受けていることは極めて重大」と述べ、国際社会が国際人権法に基づき、国際基準に則した被害者の人権救済を求めていることを紹介しています。

国連本部内で実態を訴えて

 この他、国連人権理事会が同勧告を採択した背景には、原告のM SONODAさん(ペンネーム)が国連本部で開かれたNGO主催のプレセッションで避難者の実態を訴えたことが力になっていることも記載。「私たちの声が世界の舞台に届いた」と述べています。

 冊子は、M SONODAさんを責任者に、原告団の共同代表の福島敦子さん、堀江みゆきさんら6人が半年がかりで製作しました。

 携わった一人、明智礼華(あやか)さん(28)は「勧告はすべての原発事故被害者にとって希望です。私たちのSOSを国際社会が受け止めてくれている。そのことを冊子を通じて伝えることができたらうれしい」と話しています。

 定価770円(税込み)。購入は「原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会」のホームページhttp://fukushimakyoto.namaste.jp/shien_kyoto/の注文フォームから申し込みを。問い合わせTEL090・1907・9210(同会)。