国が2013年~15年に行った公的年金の減額は、生存権を保障した憲法25条に反するとして、京都府内の年金受給者151人が国に引き下げの取り消しを求めた裁判で、大阪地裁(山地修裁判長)は15日、原告の訴えを棄却しました。原告団、原告弁護団は同日、「怒りと抗議の報告集会」を開き、「不当判決」として控訴を表明しました。

 裁判で原告側は、▽減額が高齢者にとっての命綱である年金受給権を侵害し、憲法25条や29条(財産権の保障)などに反する▽引き下げのための法改定案が2日間で成立するなど、立法過程にも過誤がある―ことを主張してきました。これ対し、判決は「減額は、制度の持続可能性を維持することを目的としていて合理性がある」とし、国の裁量権を広く認めた従来の判断を踏襲しました。

 大阪市内で開かれた報告集会には、約80人の原告や支援者が駆け付けました。弁護団の谷文彰弁護士は、判決の不当性を指摘。その上で、原告が訴えた年金生活者の厳しい生活実態に判決が言及したことや、国の判断過程に一定の齟齬があったとする原告の主張を一部認めたことを挙げ、「今後の裁判の追い風になる」と強調しました。

 山本和夫・原告団団長代行があいさつ。楠晤原告団事務局長は「裁判闘争の中、低年金や無年金などの実態とともに、安心して暮らせる年金制度を実現する道があることも明らかになった。控訴審でさらに運動を広げ、勝利を勝ち取ろう」と呼びかけました。

 17日には、原告団と弁護団が共同で声明を発表。5年間の裁判闘争で、原告団が公正な判決を求めて、1万人分を超える署名を裁判所に届けてきたことなどに言及し、今後も「全国の仲間と団結し全力で闘う」決意を表明しました。全国で同様の訴訟が39地裁で起こされ、この日の判決が24件目。いずれも原告の受給者が敗訴する不当判決で、京都の予定も含め控訴しています。