長崎と結んで合唱する参加者

 長崎への原爆投下で亡くなった娘を供養したいという綾部市の故・福留志なさんの願いを実現するため、同市の中学生が募金活動に取り組み、長崎原爆資料館(長崎市)の屋上に「ふりそでの少女像」が建立されて25周年を記念する集いが3月28日、綾部市内で開かれました。同原爆資料館ともオンラインで結び、「像をつくって終わりではなく、そこから世界へ平和の輪を広げよう」とあらためて誓い合いました。

 主催は、像建立のため中高生や地元住民らでつくられた「ふりそでの少女像をつくる会」。

 綾部会場には約70人が参加。主催者を代表し、同会の四方修吉代表が、志なさんの「戦争はあかん。平和が一番」という言葉を胸に、歩み続ける決意を述べました。

 像の制作者である余江勝彦さんは、制作の過程で地域住民や当時勤務していた中学校の教え子など多くの理解と協力が広がるとともに、像建立後には長崎活水高校の生徒による清掃活動や碑前祭の開催へとつながっていったことを報告。

 毎年、像のもとを国内外から多数の人々が訪れている様子を紹介し、「若者の取り組んだ平和活動が国内外の多くの人の心を動かした。この活動に参加できて光栄。像は作っておわりでなく、そこから平和の活動が始まる」と語りました。

 同「つくる会」の中のサークル「みらいいろ」で、被ばく者の体験を紙芝居にする取り組みなどを行った、大学院生の荒川清明さんは、当時の経験が現在でも社会の出来事などを「どういう立場でみるか」というかたちで根付いていると語り、「これからも(平和を)広める活動を続けていきたい」と語りました。

長崎・綾部両市長がメッセージ

 25周年を祝うメッセージが各方面から寄せられ、山崎善也・綾部市長、田上富久・長崎市長のメッセージが会場で紹介されました。山崎市長は、同会の活動に敬意を表した上で、今年1月に発効した核兵器禁止条約に触れ、「今後、核兵器廃絶に向けた動きが大きく前進することを期待している」と記しました。

 「アンネのバラ」を全国に贈っている山室建治さんが、「つくる会」の高校生との交流などについて語りました。

 長崎会場では、紙芝居「ふりそでの少女」の読み聞かせ、活水高校平和学習部の生徒による活動報告などが行われました。

 活水高校の生徒は、平和学習部「ふりそでプロジェクト」が、「二度と悲劇が起こらないよう世界に発信しよう」と活動していることを紹介。今年度はコロナ禍で活動が制限されるもと、日・英・中・韓の4カ国語での冊子や、少女の象徴である「ふりそで」のしおりを折り紙でつくる動画の作成に、「平和とは何かを考えてもらうきっかけに」と取り組んだことを報告しました。

 最後に、両会場で「ふりそでの少女」を合唱しました。