「誰もが自分らしく生きられる社会実現へ、ジェンダー平等が大きく前進する1年にしたい」――。日本共産党京都府委員会のジェンダー平等・人権委員会事務局長で、衆院近畿ブロック比例候補のたけやま彩子さん(49)と、大阪市内で弁護士同士の夫夫カップルで弁護士事務所を営む南和行さん(44)が、オンラインで新春対談しました。

〈上〉からの続き】

 南和行 民法772条は〝父親〟を確定するのには便利かもしれません。でも、さまざまな事情で、法律上の「夫」以外の子どもを女性が生む場合には、大きなペナルティーを背負わすことになっています。もともとは、フランスの民法の考えを採用したもので、法律上の父親をはっきりさせて、養育の責任を明確にするためのものでした。ところが、日本の家制度という価値観と合体したことで違ってしまったんです。

 たけやま彩子 なるほど。

  法律が、家族の基礎となる婚姻の枠組みを男女とそこで生まれる子どもが〝モデル〟と決めてしまって、それ以外は認めないということになってしまいました。しかも、国民の生活レベルでも、法律を知らなくても、この男女同士の枠組みの「婚姻」を守ることへの規範意識は、良くも悪くもがっちり浸透していると思うので、なかなか動きにくいです。

 たけやま そうですね。ジェンダー不平等の価値観がまだまだ根を下ろして、古い男性優位の考えであったり、家長制度の意識が残っているんですね。これを変えていくことは政治の責任です。

  多様な家族、結婚を認めないことが、少子化の要因の一つにもなっているでしょう。

 たけやま シングルであっても出産、育児ができる。経済的にもデメリットを受けないことが大事ですね。女性が安い労働力として使われていることも、ジェンダー平等社会の実現を妨げています。シングルマザーの人たちが周りにもいますが、正規か非正規かで圧倒的に経済力が違います。正規であっても、子育てしながら仕事を続けることは、キャリアにとって不利益であったりと大変です。

  本当にそうです。

 たけやま ひとり親家庭に支払われる児童扶養手当で言うと、支給要件が厳しく、同じ収入でも子どもの人数によっては支給対象外になったりします。他の産業より10万円も収入が低い保育士の年収でさえ、現行基準では支給されません。こうした状況を変えて、みんなが平等に権利を享受できる社会をつくっていくことが大事です。

共同広げ憲法の視点で取り組む■たけやまさん

どんな形の家族にも法律の保護を■南さん

  全国で、同性婚を法で認めてほしいと訴える裁判が行われています。問題の根本は、男女の組み合わせしか認めない、民法772条に代表される日本の婚姻制度でしょう。ここから付随して、過去にあった嫡出子と非嫡出子の相続分の差別をはじめ、婚姻適齢や婚姻禁止期間における男女間の不平等や夫婦別姓を認めないというさまざまな問題が発生したと僕は思います。

 たけやま なるほど。お話しを伺って、私たち女性がジェンダー平等社会実現を目指して、さまざまな団体や個人のみなさんと共同して運動を進めていくことと、性的マイノリティーの方々が権利保障を求めて取り組む運動がつながっていることが分かりました。それぞれの障害になっている問題の根っこは同じですね。

  どんな形の家族も家族として存在を認めて、法律上の保護を与えるべきではないでしょうか。その一つとして、同性婚も認めていくことだと思っています。

 たけやま 共産党は、戦前から男女平等を掲げ、その実現を目指してきました。いま、私たちは憲法に基づいて、男女平等が実現しているのか、ジェンダー平等社会が実現しているのか、見ていくことが大事だと思っています。私たちの党の中にも、改善していく課題はまだまだあります。地方議員の女性比率は高いし女性党員も多いのに、女性役員が少ないこともその一つです。

  そうなんですね。

 たけやま はい。憲法の視点で、多くの人たちと共同して、ジェンダー平等という新しい分野に取り組んでいきたいと思っています。

  僕は共産党の持ち味、強さとして、現状の問題点をしっかり分析して批判し、政策化する力があることだと思っています。それと、いま、政治に必要なのは、たくさんの小さな声をしっかり反映させていくことでしょう。日本共産党は、いつも小さな声をちゃんと聞いてくれていると思います。他の野党とも連携して、頑張ってもらいたいですね。応援しています。

 たけやま 共産党への期待や激励も含め、本当にありがとうございました。新しい政権を市民と野党の力で誕生させられるよう、私も頑張ります。

みなみ・かずゆき 1976年、大阪府生まれ。2009年、弁護士登録。同性パートナーとともに13年、大阪市で「なんもり法律事務所」を設立。共著で『僕たちのカラフルな毎日 弁護士夫夫の波瀾万丈奮闘記』。

「週刊京都民報」1月10日付より