オンラインで講演する藤原氏(画面)

藤原氏「コロナ禍で学校給食の意義浮き彫り」

 発足から1年となる「小学校のような全員制の中学校給食をめざす連絡会」は9月5日、京都市左京区の教育文化センターで学習交流会を開き、京都市議会へ11月末提出を目指す請願署名に取り組むことを確認しました。請願項目は、▽すべての中学校で小学校のような全員制の中学校給食の実施▽給食アンケートの結果を受けて、市民も参加する給食検討委員会を設置、の2項目。

 学習会では、京都大学人文科学研究所の藤原辰史准教授が、「給食とベーシックインカム─給食の原理を探して」と題してオンラインで講演。コロナ禍で話題となっている、政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要な現金を支給する「ベーシックインカム」の考え方について「セーフティーネットを危機にさらす危険性がある」と警鐘を鳴らしました。ベーシックインカムの提唱者の一人、竹中平蔵氏は社会保障や年金、子ども手当などを廃止し、給食も「いらない」と述べたことを紹介。コロナ禍で職を失ったり、廃業が増える中で、栄養価が考案された学校給食の持つ意味は大きいと強調しました。

 また、京都市が昨年10月に中学校給食について行った実態調査で、自由記述覧に書いた244人のうち、43%にあたる104人が「選択でなく全員給食にしてほしい」と書いているにもかかわらず、「全回答者(1499人)の7%」とするなど作為があると指摘。全員給食制が温かく、子どもたちの体格や体調などに合わせて量を調整できる細やかさがあることが重要だとして「小学校のような全員給食の大事さをアピールしよう」と呼び掛けました。

「昼食食べない」前回よりも増加

 「より豊かな学校給食をめざす京都連絡会」の金井多恵子事務局長が、京都市の調査結果について詳述。学校で昼食を食べない日があると答えた生徒が7・7%で前回(98年、5・4%)より増えていることや、選択制の中学校給食の「主食を残す」29%、「おかずを残す」50・5%と改善が求められている現状などを報告しました。

 交流では12人が発言。働きながらの弁当作りの苦労や給食への地元産の野菜や米の使用、中高一貫校との格差が大きすぎるなどの意見が出されました。