ブドウ園で収穫作業に追われる吉見さん(8月28日)

 人気を誇る福知山市の特産フルーツ「三和ぶどう」が収穫の最盛期を迎えました。三和町友渕で、30年来ブドウの生産を担い、3月に解散した「大原野開発生産組合」のブドウ園の一部を継承して、新規就農者の吉見篤一さん(49)が、たわわに実ったブドウの初収穫に汗を流しています。

 「今年は梅雨が長く、成長が遅かったものの昼夜の寒暖差が大きくなり、ようやく甘味が増した」と初収穫の日を迎えた8月28日、果汁たっぷり、甘味も十分な出来にほっとした様子。このマスカットベリーAの収穫期は約1週間です。

 「三和ぶどう」は、三和町の大身と友渕の両地域で生産されるブドウ。友渕では、大身から10年ほど後に始まり、約1㌶の傾斜地で土地を改良し、地元生産者が共同のブドウ園で生産を担ってきたのが特徴です。

 ところが2月、組合長の高根利数さんが亡くなり、組合員の高齢化や担い手不足から組合は解散。高根さんを〝師匠〟と慕い、3年前からブドウの栽培に関わってきた吉見さんは、「高根さんは、やる気満々で続けたい思いが強かった。地域で築いてこられた財産を引き継いでいきたい」とブドウ園の約3分の1の区保有地分を引き受けることにしました。

箱詰めの準備をする篤一さんの父母

 吉見さんは、料理人からの転職。17年、勤務先の倒産を機に名古屋市から移ってきました。今年5月には、実家の宇治市から、両親も移住し、家族でブドウづくりに励んでいます。一つの実を大きくするために果房を間引く「粒ぞろえ」の作業は重労働と話す母親の恵美子さん(74)は、「何もかも初体験。ブドウを作るって大変ですね」と選別作業に精を出していました。

 吉見さんは、消毒回数を減らし、除草剤不使用を継承。獣被害や天候に左右され、毎年同じブドウができる保障のない難しさがある一方で、「毎年楽しみに待ってくれている人がいるのは強みです。『おいしい』の声を励みに挑戦したい」と話しています。

 吉見さん☎090・3714・4459。