京丹後市の米軍レーダー基地(経ケ岬通信所)で新型コロナウイルスの集団感染が発生している問題で、日本共産党の井上哲士参院議員、京都府議団、京丹後市議団は8月20日、防衛省・近畿中部防衛局(大阪市中央区)を訪れ、実効性ある緊急対策を講じるよう申し入れました。

 府議団からは光永敦彦、西脇郁子、浜田良之の各氏、市議団からは田中邦生、平林智江美、橋本まり子の各氏がそれぞれ参加しました。

 申し入れでは、7月26日の軍人1人の感染確認後、現在までに関係者含め軍人・軍属ら15人に感染が拡大していると強調。その上で、▽感染が判明した米軍関係者の来日時期、行動履歴などの情報開示、日米地位協定の改定など緊急事態への特例的対応を日米間で協議する▽全軍人・軍属とその家族、労働者、工事関係者のPCR検査実施、感染者の隔離などを万全に実施する▽基地周辺住民や他の必要な地域住民などの積極的な検査の実施▽さらなる感染拡大を防止するため基地閉鎖を含めた米軍関係者の行動制限の徹底―などを求めました。

 応対した、同防衛局の西江成史企画部次長は、米軍医療チームによる軍人の検査は7月末までに完了し、軍属は18日段階で数人を残して完了したと説明。また、米軍関係者とは別に地元住民や基地工事関係者についても丹後保健所が順次検査を実施し、検査が完了した案件については全て陰性だったとしました。

 田中市議は、米軍人・軍属は全員が基地外に点在して居住している実態を示し、「これ以上感染を広げないため情報提供が欠かせない。軍属がどこに住んでいるか分からず、住民に不安を広げている」と訴えました。

 これに対し、西江次長は、これまで感染が確認された軍属は「一つのコミュニティーの方で、そこで隔離している」と述べるに留まりました。

 平林、橋本両市議は感染者や濃厚接触者の隔離措置の具体的な方法をただしましたが、「米軍医療チームが責任を持って隔離している」(同次長)として、明確な回答をしませんでした。

 感染が判明した米軍関係者の対応について西江次長は、感染者とその濃厚接触者については14日間以上の自宅での隔離措置が取られており、2回の検査で陰性とならなければ隔離措置が解除されないという説明。これに対し、京丹後市議団は、現在もマスクをつけずスーパーで買い物をしている米軍関係者がいるとともに、全軍人の検査完了から2週間以上たって新たに軍人1人の感染が確認(13日)されたことを示して、米軍の対策の実効性が問われていると強調しました。

 井上参院議員は、対策の実効性とともに、日米合意にもとづいて日米の保健当局間で感染者の行動履歴など感染拡大防止に必要な情報が共有されるはずが、京丹後市長が「共有されていない」と訴えていることを指摘し、「米軍がやっていると言っても、こういうことが起きている」と同省の認識をただしました。

 西江次長は「指摘には真摯に対応したい」と述べました。

 浜田府議はクラスター感染が起きているという認識を持った緊急の対応を強く要望。西江次長は「事態を深刻に受け止めている」とした上で、感染の範囲は米軍関係者とその居住地という限られたコミュニティー内に留まっているという認識を示しました。

 住民への情報公開について、同局は検査状況や米軍の隔離保護措置の状況などを公表できるよう検討を進めているとしました。