オンラインで全国からも視聴された市民学習会(7月24日、向日市)

道中氏「コロナ禍で役割増す、専門性向上も必要」

 向日市の生活保護行政の抜本的な改革を求めることを目的にして、市民らが7月24日、「向日市の生活保護を考える会」を同市内で結成しました。

 同会は、昨年6月に起きた、ケースワーカーの同市職員(当時)が生活保護利用者の犯罪に関与させられた事件を発端に、事件の背景の周知や裁判で職員を励ましてきた支援者らが中心となり、向日市の生活保護行政を立て直すため、新たにつくったもの。目的や会則、世話人を確認し、花園大学の吉永純(あつし)教授が代表世話人に選ばれました。

 会の結成に先だつ市民学習会は、オンライン参加を含め77人が視聴。講師は、第三者を入れた市の「生活保護業務上の職員逮捕事案に係る検証委員会」の委員長で、関西国際大学の道中隆(りゅう)教授が務めました。

 自身も生活保護のケースワーカーだった道中教授は、「この事件を知ったとき、報道で加害者とされた職員は、広い意味で被害者ではないかと感じた」と指摘し、コロナ禍で生活保護利用者が増えるなか、生活保護制度の果たす役割とケースワーカーの仕事の特徴も紹介して、検証報告書の内容を報告。

 組織体制について、福祉事務所長と保健福祉領域の7課とを兼務する行政の便宜的思考からの脱却と、生活保護業務の専門性の向上を図る改革の必要性を指摘し、「一人ひとりが気軽に話せる風通しの良い組織が大切。市民の期待に応えられる福祉事務所になることを願う」と述べました。

 質疑応答で、向日市の生活保護行政の一番の問題点について問われた道中教授は、いくつもの課題が連なっているが、不当要求に対して組織的に対応できていないことを指摘。ケースワーカーのためのケースワーカーとなる査察指導員の配置など機能の強化が必要だと強調しました。