新型コロナウイルス感染拡大という、かつてない危機のもとで、通常国会(1月20日~6月17日)では、国民の命と暮らし、営業をいかに守り抜くかが最大のテーマとなりました。こうしたもとで、国民の世論と運動、野党と日本共産党の「共闘」の国会論戦が、後手後手に終始する政府のコロナ対策を前に進めてきました。今号(7月19日付)より、京都ゆかりの日本共産党国会議員4氏(穀田恵二、倉林明子、井上哲士、大門実紀史)に、コロナ対策を中心とした、今国会での成果と課題、来る総選挙での躍進・勝利に向けての決意を聞きます。初回は、同党国会対策委員長の穀田恵二衆院議員(比例代表近畿ブロック・京都1区予定候補)です。

 政治私物化、野党一体で追及チーム

 ─梅雨前線による豪雨災害が広がっています

 被災地と被災者の皆さんに心からお見舞い申し上げます。日本共産党国会議員団としても対策本部を立ち上げ、さっそく私自身が、武田良太防災担当大臣に直接電話して、分散型避難をしている被災者へも物資などの「プッシュ支援」を要請するなど、現地に国会議員が入り、地方議員とともに救援活動に全力をあげています。あわせて全国的に救援募金活動も行っています。読者の皆さんのご支援・ご協力をお願いします。

 ─コロナ危機の問題ですが、日本共産党は、国政・地方政治の場で、どのように取り組んできたのでしょうか

 コロナ危機対応については、民医連などの医療機関、民主商工会をはじめ、生活と健康を守る会、労働団体のみなさんの献身的な活動に敬意を表したいと思います。また、「困ったときは共産党」という立場で、地方議員団、共産党支部の皆さんが、住民の方々の困難に寄り添って活動していることを報告しておきたいです。

 ─京都では共産党が「自粛と補償は一体で」のポスター、自治体の各種の支援実現の取り組みと、お知らせのチラシで周知するなど、「国民の苦難軽減」の立党の精神を発揮していますね。通常国会では、安倍政権の後手後手の対応に、「政府の尻を叩き」ながら国民の要求を背景に積極的提案でリードしてきましたね

 まず皆さんの体験に基づいてお話しすると分かりやすいと思います。「アベノマスク」は届きましたか。遅くて小さくてあまり役に立たない。これが安倍政治です。次に持続化給付金です。遅すぎる。本来なら親身になって対応する地元の信金・信組、商工会議所等が事務を担えばよいのに、「電通」「パソナ」に丸投げで混乱の極みです。「業者の命」がかかっている事態も、「儲け」の対象にする政治に憤りを覚えますよね。

野党共同で予算組み換えを提案

 特別定額給付金10万円、申請しましたか、届きましたか。これは、国民の声を生かした野党の提案が実ったものです。当初、政府案は大幅減収条件付きの1世帯30万円の給付金という、国民の中に分断を持ち込むものでした。これを撤回させました。政府が一度閣議決定した予算案を組み替えさせ、大幅に変更することは異例です。これは一例です。

 まだまだ不十分ですが、医療機関への支援、持続化給付金創設や、中小企業の家賃補助制度、学生への支援制度などが実現しました。

 そして、野党共同で、持続化給付金の拡充、地方自治体への交付金の増額、医療機関等への支援給付金の創設、学生への授業料半額免除などを柱とした予算の「組み替え提案」を行いました。政府提案の本予算・第一次補正予算・二次補正予算について三度にわたって行ったことも画期的な取り組みでした。

 野党が要求し設置された「コロナ対策 政府・与野党協議会」を連続して開催させ、引き続き、国民の実態を基に対策の強化を日常的に行っていることも重要です。

 また、野党は一致して、国会の会期を12月28日まで194日間延長するよう求めたことも大事です。会期延長は実現しませんでしたが、ルールとして国会閉会中も「閉会中審査」を行うことを認めさせました。野党の「コロナ対策、災害対策の両面で国会が役割を果たせ」との主張がいま際立っています。

 ─安倍政権の政治のあらゆる面での〝私物化〟に抗して、野党共闘は、国会の監視機能の発揮のために努力しましたね

 市民と野党の共闘が政治の監視という国会の役割を発揮させたことも特筆すべき成果ですね。毎週開催する野党国対委員長連絡会(通称、「野国連」)を軸にして、政治を動かしています。

 野党の合同ヒアリングは恒常的に行われています。大手メディアが報道しない下で、BS放送などを中心にフルオープンで行うことは日常のことになっており、ヒアリングで、「検察庁法案」めぐる問題、持続化給付金にかかわる電通への委託疑惑、「桜を見る会」疑惑など、野党一体の追及チームをつくり、国民世論とも結んで実態を明らかにしてきたことは、政治を国民に近づける点でも大きな意味を持ったのではないでしょうか。

検察庁法改悪に反対し、アピールする人たち(5月15日、国会正門前)=しんぶん赤旗提供

 ─そういう地道な取り組みの上に、検察庁法案廃案という画期的な取り組みがあったのですね。メディアにかかわるものの一人として、ネット上で意見が出され、国民の声で政治が動くことを実感しました。そのエピソードを語っていただけますか

 安倍内閣が、黒川弘務・前東京高検検事長の違法な定年延長を決定し、これを合法化するために検察庁法の改悪を企みました。これに対して、「安倍政権は検察まで私物化するのか」「許せない」との声が上がり、ツイッターで「#検察庁法改正案に抗議します」の投稿が数百万規模に上ったのです。市民の怒りが大きなうねりとなりました。俳優や歌手、作家ら著名人も次々と声を上げました。「野党がこの声に応えずしてどうするのか」と野国連の侃侃諤々の議論を行い、国会論戦でこの無法性を暴き、幅広い世論と運動と連携して、廃案に追い込むことができたのです。

 ─まさに、草の根での国民の声、日弁連、検察OBも意見を上げ、国会での野党の論戦が、安倍政権と自民党を追い詰め、断念させましたね

 そうです、国会では野党は少数だけれども、国民世論、運動、国会論戦と連携すれば政治は前に動かすことができると確信になりましたね。

 安倍首相による「桜を見る会」にみる私物化、自民党と維新の会衆院議員のカジノ収賄疑惑、関西電力役員が高浜原発のある福井県高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていた「関電マネー」問題、河井克行前法相夫妻の1億5000万円買収事件など、野党合同の「追及チーム」が解明へ力を発揮しました。

赤旗、地方議員が存在感を発揮

 いずれの問題でも、野党全体で事の重大性を共通認識にしてメディアに発信する、共産党を副責任者にして各分野の合同の追及チームを結成して調査・研究・論戦にあたるというここでも連携ができた。この事も見逃すことはできません。

 もう一つは、「しんぶん赤旗」と日本共産党地方議員の役割という点です。「桜を見る会」疑惑では、マルチ商法大手の「ジャパンライフ」が招待されたことを広告で利用したことや、原発マネーと原発立地、森友学園、安倍首相と河井氏の官邸面談が12回に及ぶなど、「赤旗」の地道な調査とスクープが野党の共通の土台となりました。「赤旗」記事のコピーを野国連で配布し、「関電マネー」問題では、高浜町議会で唯一たたかってきた渡辺孝日本共産党町議の発行し続けたチラシを参考に、また、現地の案内で野党チームが調査する。ここに宝としての地方議員の面目躍如たるものがあります。

 さらに、日本共産党に対する反共攻撃に対し、野党が連帯して反撃したことは野党共闘の新たな画期的前進です。2月の衆院本会議で、日本維新の会の議員が、「共産党が破壊活動防止法(破防法)の調査対象となっている」などと質問し、安倍首相が「破防法に基づく調査の対象になっている」などと反共デマ攻撃の答弁を行いました。本会議場で、野党がこぞって抗議し、野党国対委員長会談で「公党への侮辱であり、民主主義を壊すものだ」との認識で一致し、首相に謝罪と撤回を求めたのです。これには感動しました。「日本共産党を除く」という壁が取り払われつつあることを実感しました。

 今年2月の京都市長選では、自民党などの現職陣営は地元紙などに「大切な京都に共産党の市長は『NO』」と広告を掲載。京都市民はもちろん、全国から批判の声が相次ぎ、市民による募金で反撃の広告が掲載された。反共攻撃を打ち破る大きな共同が広がりました。

「本気の共闘」で野党連合政権開く

 ─早ければ今秋の解散・総選挙との報道もあります。共闘の前進、日本共産党の躍進・勝利に向けて決意を聞かせてください

 野党共闘での選挙戦では、違いがあってもお互いに尊重し、リスペクト(尊敬)して、一致点でしっかり協力する「多様性の中の統一」が重要です。

 昨年、志位和夫委員長が呼びかけた党首会談は、立憲、国民、社民、れいわ新選組との間で実現し、安倍政権を倒し、政権を代え、立憲主義を取りもどすことで基本的に一致しました。「安倍政治からの転換の三つの方向」─①憲法にもとづき、立憲主義、民主主義、平和主義を回復する、②格差をただし、暮らし・家計応援第一の政治にきりかえる、③多様性を大切にし、個人の尊厳を尊重する政治を築く─について、野党幹部からも歓迎の声が寄せられました。

新自由主義の見直しも共有

 これを軸に、野党連合政権実現への話し合いを深め、「本気の野党共闘」への政治的決断をしていくことが求められています。

 コロナ危機のもとで貧困と格差が広がり、新自由主義や市場経済万能論を見直す動きが大きくなり、野党でも共通の意見となりつつあります。社会の脆弱さや矛盾を体験した私たちは、「こんな政治でいいのか」と声を大にして、国民的な議論をしようではありませんか。

 野党共闘の目的は、最悪の政治である「安倍政権を打倒し、野党連合政権」をつくることです。そのためには、野党共闘の要である日本共産党の躍進が決定的です。野党共闘の前進、比例選挙での日本共産党の躍進をかち取り、必ず京都1区で勝利したいと思います。

「週刊京都民報」7月19日付より