文化・芸術関係の個人・団体 半数が経営、生計見通したたず 京都市がコロナ影響調査/収入損失は合計約18億円
京都市はこのほど、新型コロナウイルスの感染拡大による文化・芸術にかかわる個人・団体への影響を調査するアンケートを実施し、結果を公表しました。回答の9割が公演・展示などの中止・延期を経験し、収入損失の合計は、個人で8億9000万円、団体で8億7000万円に上り、影響の大きさが改めて浮き彫りになりました。
アンケートは5月7日~20日間の2週間、市内に居住、もしくは活動の拠点を持つ個人と団体・事業所を対象に実施。市が、感染拡大で影響を受けた文化芸術関係者を支援するため、新たな活動を興す場合に助成する「文化芸術活動緊急奨励金」の募集に合わせ、行われました。
有効回答数は個人1122件、団体・事業所280件の計1402件。収入損失の平均額は、個人で88万2000円、団体・事業所で364万5000円となりました。
「現在困っていること」について、個人の場合、約8割が「創作発表の機会が失われた」と回答し、次いで「生計が立てられない」が5割を超えました。団体・事業所でも5割が「経営の見通しが立てられない」と回答。両者とも厳しい事態となっていることが判明しました。求める支援としては、両者ともに「損失の補てん」が最も多い回答で、約5割となりました。
市は「報告書」で、「実際にはさらに大きな経済的損失が発生していると考えられ」、影響は「芸術活動のみならず、生活の維持にまで及んでいる」と強調。文化芸術都市・京都として、「関係者を後押しするため、今後の施策を検討し、継続的に文化芸術活動を支援する」と述べています。
調査に意義、継続的な支援を
市や京都府に支援を求めてきた、文化芸術関係者でつくる「京都コロナ対策文化ネット」の時田裕二・京都音楽センター代表の話 奨励金の募集とセットのアンケートなので、応募するだけの“体力”のある個人・団体が対象となり、より厳しい環境にある関係者の声が十分に反映していないのではないかと懸念します。
それでも、私たちの置かれている状況が損失金額も含め、一定可視化されたことは、貴重です。特に、市が「今後の施策を検討し、継続的に活動を支援する」としたことは、意義あることです。
ぜひ、それを実行していただきたい。例えば、市が施設を借り上げ、創作活動の場を関係者に提供し、そのイベントや展示をネットで世界に発信するなら、京都や芸術関係者・団体にとって、コロナ禍でのピンチを逆にチャンスにできるのではないでしょうか。
併せて、府も府内の芸術家や団体のアンケートを実施し、府ならではの支援策の提起を切望します。