請願への採択を求めるアピール行動(2月27日、京都市役所前)

「全員制望む」記述104件も

 京都市教育委員会が実施した「中学校給食の充実及び食育の推進に関する実態調査」が3月に発表され、学校で昼食を食べていない生徒の実態、「全員制」の給食を望む保護者の声が広がっていることがわかりました。実態調査から見える課題について、学校・教育関係者に聞きました。

 調査は、昨年10月、学校(73校)、生徒(抽出した17校の2年生1905人)とその保護者を対象に実施。同規模の調査は21年ぶりです。

 京都市の中学校では、家庭から弁当を持参するか、校外調理した弁当箱形式の給食かの「選択制」(65校)です。しかし、施設一体型の小学校併設校(6校)で全員制給食を実施、中・高一貫校(1校)は未実施です。

 調査の生徒アンケートで、学校で「昼食は何を食べているか」の問いに、一番多いのは、家で作られた弁当(手作りのサンドイッチ、おにぎりを含む)が68.3%。給食は26.9%、市販のパン、おにぎり、弁当ほかが4.8%でした。

 「昼食を食べない日があるか」の問いでは、「ほとんど毎日」1.6%、「かなりある」0.7%、「ときどきある」5.4%で、「ある」と答えた生徒は、計7.7%にのぼりました。35人のクラスで単純計算すると、食べていない生徒が2~3人は「いる」という状況です。

 給食を利用した生徒の回答では、「おかずも温かくしてほしい」は、「とても思う」46.9%、「思う」25.3%と合わせ72.2%。保護者(1499人)の自由記述でも、「温かいおかず」「味の改善」を課題としてあげたのが多く、どちらも50件ありました。

 また、保護者の自由記述の「中学校給食についての意見」に244件(16.3%)回答があり、「選択でなく、全員給食にしてほしい」との意見が104件(記述者の42.6%)ともっとも多く、「子どもが喜びそうなメニューや味にしてもらいたい」が76件と続きました。「選択制のままでよい」は9件、「安くて美味しいをもっとアピール」が6件でした。

「7.7%」見過ごせない 「全員制」給食の必要性明らか

「より豊かな学校給食をめざす京都連絡会」事務局長 金井多恵子さん

 一番驚いたのは、「学校で昼食を食べない日がある」と答えた生徒が、「ほとんど毎日」「かなり」などを合わせて7.7%もあったことです。

 前回調査(1998年)の5.4%よりも増えており、選択制の中学校給食が導入されても問題の解決にはなっていません。「食欲がない」「用意されていない」など、個々に理由や家庭事情があるようですが、登校してから帰るまで最低でも7~8時間、朝食抜きの場合は前日から、何も食べずに学校生活を送る生徒がいる事実は見過ごせません。

 小学校のような全員制の中学校給食を求める要望署名には、「クラスに、いつも何も食べていない子がいて気になっていた。全員制の給食なら安心ですね」と街頭で署名してくれた大学生がいました。

 調査結果の食事の内容では、肉類は食べているが、魚や野菜・果物・乳製品はあまり食べられていません。栄養摂取状況も脂質や食塩は過剰の一方で、成長期に必要なカルシウムや鉄・ビタミンAやB1の不足が明らかになっています。全国的に同じ傾向にあり、学校給食の摂取基準は家庭で不足しがちな栄養が補えるように設定されています。

 お弁当には苦手なおかずは入れない、市販のパン、おにぎりだけでは当然栄養量は不足します。弁当給食の場合も「主食をほとんどまたは半分くらい残す」(29%)、「副菜をほとんどまたは半分くらい残す」(50.5%)と食べ残しが多い。「たちくらみやめまい」「やる気がおこらない」「イライラする」と訴える生徒が多い事とも密接に関係していると思います。

 今回の調査に、全員制や小学校のような給食について問う設問がなかったのは残念ですが、自由記述の中では全員制の中学校給食を求める声や給食内容の改善を求める要望が多く寄せられています。

 この結果からも、選択制・弁当給食を見直し、全員制で温かい子どもたちの喜ぶ中学校給食の実現が、京都市の中学生にとって必要であることが明らかになっていると思います。