満開の桜のもと出合橋を通過する三十石船

15年かけ撮影 500点収録

 「まちの魅力、人々の営みを後世に伝えたい」――。京都市伏見区の風景と地域の多彩な風物を500枚の写真と解説で紹介する写真集『伏見百景~未来へ遺したい伏見の風景~』(大垣書店)を同区の写真家・山本正治さん(67)が出版しました。

 山本さんは、写真学校の卒業生。一度は写真関係の仕事に就いたものの、その後は別の仕事に従事し、長い間「写真は封印」してきました。退職前後から時間にゆとりができ、久しぶりにカメラを手に伏見のまちを散策するようになり、「伏見を再発見した」と言います。2017年には初の個展を開催。好評だったことから写真集の出版を決めました。

写真集『伏見百景』を手にする山本さん

 掲載された写真は、約15年かけて撮ってきた中から選んだ約500点です。春、沿岸の桜並木をバックに、行き交う三十石船や十石舟の美しさは息を飲みます。雪化粧した老舗の酒蔵の町並み、伝統ある祭のみこしを担ぐ人々の躍動感ある動き、夕映えの鉄橋など、山本さんが何度も足を運び、数年がかりで写したベストショットの数々です。それぞれの風景や行事にまつわる歴史などを解説した一文を付け、若い世代にも分かりやすいものにと工夫しました。写真だけでなく、年表や資料も豊富です。

次世代の人々に伝えていきたい

 山本さんは「地域に愛着を持ってもらう機会になればうれしい。次世代に故郷の歴史や風景を伝えるのは、今を生きる我々の務め」と話しています。

 A4判、128㌻。2364円(税別)。問い合わせ☎075・468・1411(大垣書店出版部)。

宇治川に架かる夕映えの近鉄澱川橋梁