多国籍企業による種子の独占とたたかう南米の農民やヨーロッパの小規模・家族農業を取り上げたドキュメンタリー映画の上映会と日本の農業の現状を考える講演会が2月15日、京都市下京区のひと・まち交流館京都で行われ、50人が参加しました。主催はピースムービーメント。映画は『種子ーみんなのもの? それとも企業のもの?』(制作Radio Mundo Real、39分)『未来を耕す人びと』(制作アグロサッカド、56分)。

 2010年以降、南米の多くの国で、伝統的に行われてきた種子の保存や交換を実質的に不可能にし、企業から買うように強いる通称「モンサント法」が提案されたことに対し、原住民や農民が反対運動に立ち上がっています。
 日本で2018年に「種子法」が廃止された問題点などについて、京都大学農学研究科で持続可能な農業や食について研究し、右京区京北で農業を営む松平尚也さんが講演しました。

 松平さんは種子法廃止を受け、23道県で主要農産物や在来種、園芸作物などの品種改良や種子の安定供給を、元の種子法と同じようにできるよう条例制定に向け動いていると紹介。「安倍内閣による種子法廃止の理由は『民間企業参入を妨げる』というもので、戦後から続いてきた種子供給と品種改良に対しまったく配慮がない」と指摘。同法廃止の問題点として、▽国の主食種子の安定供給の責任放棄▽米生産に必要な種籾の安定確保を妨げる▽種子価格の高騰―など7点を指摘しました。

 また、日本の野菜栽培で使われている種の約8割が外国産であり、種苗会社の国内採取は1、2割だとの報告に会場からは驚きの声が上がりました。牛や豚の飼料用として輸入されている作物の7~9割が遺伝子組み換えだと述べ「持続可能な農業、有機農業を目指す者にとってはハードルが高い」と語りました。

 国連が2019年からの10年間を「家族農業年」としたことは、98%が家族農業である日本にとっては重要な視点だと指摘。「安全で安心な有機農法で持続可能な暮らしを考えて行きたい」と述べました。