136人が参加した住民説明会。騒音や悪臭などへの懸念や計画に反対する意見が相次ぎました(1月25日、舞鶴市)

 舞鶴市喜多地区に計画されている、国内最大規模のパーム油発電所建設をめぐって1月25日、同地区で市が初めて主催する住民説明が開かれ、計画地の周辺住民ら136人が参加。住民は、騒音や悪臭などへの懸念を訴え、計画に反対する意見が相次ぎました。

 住民の騒音・悪臭をめぐる懸念は、福知山市で稼働している同種の発電所の周辺住民から騒音・悪臭による被害を訴える声が上がっており、同市議会でも対策を求める請願が採択されるなど問題となっていることが背景にあります。

 発電所の建設・運営・保守を行う日立造船の担当者が、住民が最も懸念している騒音・悪臭の対策について説明。騒音については、防音壁の設置などで「室内では音を感じないレベル」で、臭気は煙突による拡散で「ほぼ人間が感じないレベル」などと述べました。

 同市からは堤茂副市長らが出席し、発電所立地は雇用確保など地域経済へ貢献するため、推進する立場であることを示した上で、事業者とは騒音・臭気などについて「環境保全協定」を締結し、違反した場合には、「必要な措置を講じることを指示できる」などと計画への理解を求めました。

 質疑応答では、参加者から、発電施設の約90メートル西側に民家があるなど住宅地に隣接することから、「そもそも公害を発するものを市が受け入れる理由が分からない」「なぜここに発電所が必要なのか」と反対や計画への疑問が相次ぎました。

燃料輸送で1日24往復

 また、燃料のタンク基地から発電所までの燃料輸送をめぐり、1日あたりタンクローリーが24往復すると説明されたことについて、輸送路の近くで市の委託を受けて産後ケア事業を行っているという女性は、「赤ちゃんやお母さんは、静かな環境で癒されて元気になって帰っていく」と輸送にともなう環境悪化への懸念を語りました。

 同地区自治会の男性は、1月中旬に自治会として反対を決議し、市にも伝えたとし、計画断念を求めました。

 男子高校生は、再生可能エネルギーの利用について、例えば、地域の木材資源を活用して地元林業の活性化にもつなげることができるものだと強調。一方で、輸入燃料を用いる現計画について、「なぜパーム油なのか一向に分からない」と疑問を投げかけました。

副市長「理解得たとは考えていない」

 反対意見が相次いだことを受け、同副市長は、「十分に理解を得たとは考えていない。引き続き説明していきたい」と述べました。