大学側が提示した建て替え後の体育館の断面図

「損害賠償も」自治連に通知

 東山区貞教小学校跡地では、門川市長の「学校跡地活用では徹底して住民の意見を聞いている」との主張に反する、前代未聞の事態が起こっています。

 跡地を活用する京都美術工芸大学(学校法人二本松学院)が提示した、教室数の拡充を理由に指定避難所の同校体育館を半地下化する計画をめぐり、災害時に地下は危険として計画に反対する自治連合会に、大学が損害賠償をちらつかせたというのです。

 当初、昨年10月に予定されていた現体育館の解体工事は、自治連の反対で着手されずにきました。これにしびれを切らした大学側が昨年12月、自治連会長宛てに送った文書には、このままでは工事遅延で1カ月ごとに「2500万円の損害が発生」し、「貴連合会に損害賠償請求をせざるを得ない」などとし、計画への合意を強いるものでした。

跡地提供方針が問題の元凶

 こうしたもとでも、京都市は一貫して大学側に立ってきました。学区の元体育振興会役員の男性(82)は「住民の意見を聞いてるなんて、よくそんなことが言えるな。市長も大学も、声を聞く気など頭からなかった」と怒ります。

 今回の問題の大本にあるのは、門川市長が2011年に、住民の財産である学校を民間へ提供する方針(「学校跡地活用の今後の進め方の方針」)を策定したことにありました。学区と行政区の各種団体役員を務める男性は「地域の拠点の学校跡地が、あの『方針』で好きなようにされている。門川市長に投票してきたことを後悔している」と言います。この他にも、「町内みんな半地下計画には反対ですよ。もう門川さんはごめんや」(町内会長)、「市長をやめてもらわな」(前町会長)、などの声が上りました。

 一方で、「つなぐ京都2020」の福山和人氏は、「学校跡地活用は、住民の立場に立った活用を優先させ」、現在の計画は「抜本的に見直す」ことを鮮明に打ち出しています。同学区では、「これまで、市長選挙は棄権してきたけど今度は違う。お客さんと福山さんやと話している」(自営業者)、「今度は福山さんを応援するで」(各種団体元役員)との声が相次ぎました。

清水小ホテル
グラウンドはつぶされ、ホテルの増築棟はレストランなどになった清水小跡地(2019年11月撮影)

 清水小学校跡地(同区)でも、有権者に変化が起こっています。

グラウンドをホテルが占拠

 市の誘致でホテル(NTT都市開発の建設、プリンスホテルの運営で3月開業予定)となった同跡地について、門川市長は「自治会活動拠点としての機能に最大限配慮する」などと説明。ホテル業者は広告で、「コミュニティー創出に貢献」「地域にとってかかせない場所となった」とうたい上げました。しかし、地域の交流、活動の場となっていたグラウンドは、ホテルが占拠。グラウンドで行われていた学区の運動会、「夏祭り」は、別の場所へと追いやられています。

 門川市長を応援してきたという同区内の宿泊施設のオーナーは「これじゃ100%ホテル。門川市長には、住民のことなど頭にはない。心底、嫌になった。応援はもうやめです」と言います。各種団体役員の男性は、明言しました。「安倍政権のモリ・カケと一緒や。地元は一度もホテルにしてほしいと言っていないのに…。門川市長が、一握りの〝地元〟と話を進め、ホテル業者がもうけるだけ。こんな市政はもういらん。福山さん、チャンスやで」

植柳小跡地活用で、市が開示した選定委員会の黒塗りの議事録

選定の経緯は全て〝黒塗り〟

 門川市長の「住民の意見は聞いている」との発言は、市がホテル誘致を進める植柳小跡地(下京区)でも住民の怒りを買っています。「どこで住民の意見を聞いたのか」。地元で住職を務める男性は、こう話します。市がホテル計画を採用するに至った市の「選定委員会」(有識者、地元住民の計6人)は全て非公開。そのため、ホテル計画に反対する「植柳校跡地問題を考える会」の大屋峻さんが、同委員会に関する公文書の開示請求をしたところ、ほとんどは黒塗りの状態で開示されました。

 「全く不透明。住民合意など言わないでほしい」。前出の住職も大屋さんも怒りをあらわにします。

 門川市長の「ホテルはこれ以上いらない」宣言にも、同様に批判が上ります。大屋さんは訴えます。「あの宣言が本当ならなぜ学校跡地をホテルにするのか。あれはうそですか。うそつき市長はいらない。福山さんこそ京都にふさわしい市長です」

植柳小跡地のホテル計画に、ノーの声を上げる大屋さん(右から2人目)ら住民