丹下紘希

 「あいちトリエンナーレ2019」の企画「表現の不自由展・その後」が中止され(その後再開)、補助金全額が不交付となったことなどを受けて京都の美術家など芸術に関わる人たちで作られた「表現の『不自由』を憂える京都アピールの会」は12月14日、活動報告と関連法の学習・討論企画を京都市中京区のハートピア京都で開催。約40人が参加しました。

 造形作家の真鍋宗平さんが取り組みの経過と、「表現の不自由展・その後」中止や補助金不交付の問題についてアピールを作成する方針について報告しました。

 映像作家の丹下紘希さんを進行役、弁護士でダンサーでもある和田浩さんを講師に学習・討論しました。

 和田さんは、表現の自由(憲法21条)や集会の自由(同)を解説。その上で、「表現の不自由展・その後」中止について、あいちトリエンナーレのあり方検証委員会が「脅迫や電凸(=抗議電話)等の差し迫った危機のもとでの判断」(中間報告)などとしていることに対し、「再開でき、安全に(開催)出来たのだから実行委員会の読みは甘かったのでは」とのべました。

 補助金について文化庁は「展示会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたにもかかわらず、それらの事実を申告しなかった」と補助金適正化法6条等に基づき全額不交付の決定をしたと、しているものの▽6条のどこに抵触するのか不明▽何をもって「円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していた」と判断したのか検証が必要▽再開され事業の継続性があると立証された以上、不交付決定を取り消すべき▽「表現の不自由展」は予算規模で展示全体の0.39%なのに補助金全額を不交付とするのは裁量の逸脱・濫用ではないか―などと指摘しました。

 丹下さんは、9月27日に芸術文化振興基金助成金交付要綱が改定され交付内定の取り消しに「公益性の観点から助成金の交付内定が不適当と認められる場合」との項目が追加されたことに触れ、「公益性の観点からと言えば何でも(助成金交付を)止められてしまう」とし、自民党改憲草案(2012年発表)の表現の自由(21条)の規制について追記された条項に「公益及び公の秩序を害する」などと明記していることとの共通性について問題提起しました。

 会場からは「現憲法制定時、権力は一般の人たちより下という概念だったが、今いう公益性とは権力を持っている人たちの利益のために人民の利益、基本的人権が制限されることになってしまったのでは」、「公権力は表現の自由を守るために暴力ともたたうべきだった」「不交付決定にいたる記録がない。この間、公文書が残っていない、破棄されることばかり。法で裁けないのか」「通常美術展は、始まる前に補助金の金額も決まっている。よほどの圧力がないと不交付にならない」などの発言がありました。

 最後に真鍋さんが▽表現の自由は市民文化の基本であり守れ、と署名を広げる▽表現者が市民との対話を深め、この問題の理解を広げる―などを提起しました。