京都府が2029年度に府北部5市2町の「一水道」への統合を狙うなど、府内で水道の広域化が進められようとしているもと、京都自治体問題研究所などでつくる実行委員会は12月1日、与謝野町の知遊館で、水道の広域・民営化問題について考える学習会を開催。府北部の住民ら約70人が参加しました。

 近畿水問題合同研究会の植本真司事務局長が講演。植本氏は広域化について、都道府県によるダム水の押し付けで、市町村の自己水源の放棄につながるなどの悪影響が考えられると指摘。また、広域化の理由とされている水道事業の課題解消についても、課題とは人口減少に伴う料金収入の減少や老朽設備の更新など構造的なものであり、広域化によって解消できるものではないと強調しました。

 そして、広域化で課題解消できないもと、次には民営化による課題解消を狙う動きにつながることを指摘。しかし、民営化により、生存権の保障という水道事業の本来の目的が、「企業の利益追求に変質してしまう」と警鐘を鳴らしました。世界では、民営化による料金高騰や役員・株主への配当が優先されるなどの問題が顕在化し、再公営化が進んでいることを上げ、「民営化すれば大変なことになるというのが、世界からのメッセージだ」と訴えました。

民営化「延期」の静岡県浜松市「全国から反対の声を上げ続けて」

 水道の民営化方針を打ち出している静岡県浜松市の「浜松市の水道民営化を考える市民ネットワーク」の池谷たか子事務局長が報告。池谷さんは、市民の運動もあって同市は民営化の「延期」を表明しているものの、方針撤回には至っていないと語りました。

 その上で、市長が延期理由として、全国で民営化反対の声が上がっていることを挙げ、「全体の空気が変わることを待つ」と発言していることを紹介。「全国から民営化反対の声を引き続き上げていってほしい」と呼びかけました。

 市民団体「まいづる市民自治研究所」の長谷博司事務局長が、「北部一水道」をめぐる状況について、府や各自治体の資料などをもとに報告しました。

 主催者を代表し、自治問研の池田豊副理事長、京都自治労連の福島功委員長があいさつしました。