住民説明会で大学が提示した建て替え後の体育館の断面図

「防災拠点」の合意に違反

 京都美術工芸大学・東山キャンパスとして活用されている京都市東山区の貞教小学校跡地で、指定避難所となっている体育館を半地下に建て替える計画が進められていることが分かりました。下京区の植柳小跡地活用計画では、同様に指定避難所となる体育館の地下化案が安全面から中止(10月1日)となったばかり。地元住民らは「植柳でだめだったものは貞教でも同じだ」と怒りの声を上げます。

 計画は、同大学を運営する学校法人二本松学院(新谷秀一理事長)と市が9日に開催した住民説明会で提示されました。

 提示された資料によると、現在、700人の学生数(南丹市の園部キャンパスとの合計)が、2018年度からの定員増で、21年度には計1000人となることが見込まれ、教室の拡充を図るのが目的と説明。指定避難所となっている地上2階建ての元同校体育館(現在、同大学の体育館)を建て替えて、半地下部分を体育館、2階から4階を教室にする計画です。

「防災拠点」の合意違反

 ところが、この計画は、東山キャンパス開設(17年4月)に当たり、貞教自治連合会、市、二本松学院の三者が覚書を交わして合意(15年9月)した「跡地活用計画」書に反する内容となっています。同「計画」書では、「体育館は現状のままで活用」し、「地域の防災拠点としての地位を引き継ぐ」としていました。停電や地震となればエレベーターはストップし、高齢者や障害者が地下の体育館に避難すること自体が危険であり、困難なことは必至。「地域の防災拠点」とならないことは明らかです。

 約60人が参加した住民説明会では、不安や疑問とともに反対の声が上りました。PTAの役員は「ベビーカーや小さな子ども連れ、妊婦が停電時にどうやって地下に避難できるのか」と会員らの声を伝えました。

 説明会に参加した大嶋公生さん(57)は、「避難所はバリアフリーにするのがスジだろう。植柳小跡地でも地下体育館は『ノー』となったのに、こんな計画をよしとする市の責任も重大だ。撤回を求めていきたい」と話しています。

貞教小跡地内の体育館