許可なく進む工事現場入口付近で住民らの説明を聞く森下府議(左)、中村・八幡市議(右)

計画中止求め住民が運動

 国宝石清水(いわしみず)八幡宮を擁する八幡市・男山の山林(橋本東山本、八幡大谷地区)で、太陽光発電施設の開発計画が持ち上がり、許可なく工事が進んでいます。住民らが計画中止を求めて運動を広げています。

 計画地は、桜の名所として知られる背割堤(せわりてい)の南方で、石清水八幡宮の北西に位置し、神社周辺は京都府の「歴史的自然環境保全地域」。また、宅地造成に伴い災害が生じる恐れが大きいことから府知事が指定する「宅地造成工事規制区域」です。

 事業主の株式会社コスモスエナジー(本社・大阪府)が、山林0.95ヘクタールを開発してソーラーパネルを設置し、太陽光発電施設の建設を予定。5月初旬には、重機を使って山中への進入道路の造成工事を進めていることが分かりました。

 18年3月に行った同社の住民説明会では、約15.7ヘクタールを開発して、中央部分の5ヘクタールを造成する計画でしたが、その後、林地開発に府知事の許可を必要としない1ヘクタール以下(0.95ヘクタール)に造成面積を縮小。住民への変更説明はないまま同年12月、八幡市に伐採届を提出しました。

 同開発計画を疑問視した地元の住民でつくるグループ「八幡の自然環境を考える住民有志」は、京都府への林地開発許可申請に手間がかかるため、届出だけで済む1ヘクタール未満の開発に変更したのではないかと事業者の動向を推測し、今年2月以降、八幡市議会や堀口文昭市長らに、建設計画の中止や開発禁止の条例作りなど、対応を求めて申し入れを行ってきました。

森下府議ら住民と視察

 5月30日には、日本共産党の森下由美(よしみ)府議、中村正公(せいこう)市議が、住民の案内で現地を視察。翌31日には、府山城北土木事務所で、現状の認識や事業者への対応について、担当者から聞き取るとともに、雨による土砂災害の心配など、住民の声を届けました。

 同土木事務所は、宅地造成等規制法に基づく違反と見なして、事業者に、工事の禁止と工事内容の報告を行うよう文書で指示し、その報告書を基に今後の対応を検討すると話しました。

 同「住民有志」の石野喜幸さんは、「歴史的自然景観や防災の観点から、山林を破壊する開発はだめです。市民と行政が協力して、男山の太陽光発電施設建設計画を中止させ、早急に開発禁止条例を制定したい」と話しています。

山城北土木事務所で対応について聞く(奥左から)中村、森下両氏