プロレタリア作家・細井和喜蔵をしのんで、2018年度「細井和喜蔵碑前祭」が11月23日、出生地である与謝野町加悦の細井和喜蔵碑前で行われ、約50人が参加しました。参加者は、労働者の権利が守られる社会の実現へ誓いを新たにし、碑前に献花しました。

 同祭実行委員会の松本満委員長が、今年、93年ぶりに和喜蔵の小説「奴隷」(10月に発売済)「工場」が再版されることが決まったことを碑前に報告。

 また、現在の労働者を取り巻く状況について、安倍政権が強行した「働き方」改革では過労死ラインを超える残業が合法化されるとともに、外国人技能実習生の過酷な労働環境が問題となっていることを示し、「作品に描かれ、告発された実態と驚くほど酷似している」と強調しました。

 その上で、再版された「奴隷」について、「和喜蔵自身が奴隷状態からいかに脱出し、自由な人間としての自覚を持つに至ったのかを描き、さらに労働者全体が奴隷状態から脱することを願ったからだ」と述べました。

 日本共産党与謝野町議団を代表し、永島洋視議員は、「搾取、抑圧のない社会、人間本来の労働ができる社会の実現に力をつくす」と述べました。

 立憲民主党を代表して杉上忠義町議が「格差是正とともに、労働者の健康、命、生活を守ろう。その実現には、安倍政治を倒すため野党共闘を進める必要がある」とあいさつ。山添藤真町長のメッセージを副町長が代読しました。

 「奴隷」「工場」の再版にあたり、原文を読み込んで修正作業を行った細井忠俊さんが、2作品について、過酷な労働の実態を描いていることに加え、「丹後の1世紀前の風俗が実に見事に描かれている」と語りました。

(「週刊京都民報」12月2日付より)